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- hspのセルフケア
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HSPと睡眠の質の低下

HSPが抱えやすい睡眠の問題には、以下のようなものがあります。
・入眠困難:寝る前に一日の出来事を反芻し、思考が止まらず眠れない。
・中途覚醒:物音や光、温度変化などで何度も目が覚める。
・早朝覚醒:朝方に目が覚めてしまい、再入眠が困難。
・熟睡感の欠如:長時間寝ても疲れが取れず、脳が休まっていない感覚が残る。
これらの背景には、脳の過活動が関与しています。
特に、扁桃体の過剰な活動は不安や緊張を引き起こし、視床下部を介して自律神経を乱し、睡眠の質を低下させます。また、セロトニンやメラトニンの分泌バランスが崩れることで、睡眠リズムが乱れやすくなります。
また、反対にぐっすり寝ても疲れが取れないという場合は、トラウマを過剰に受けた結果、背側迷走神経の作動によるもの可能性があります。HSPの人は「過眠傾向」にある人が多いという情報もありますが、それもHSPがトラウマを受けやすいためによるものでもあります。
夢の多さとその意味

HSPは「夢をよく見る」「夢の内容を鮮明に覚えている」と語る人が多くいます。
これは以下の要因によると考えられます。
1. 睡眠の浅さとレム睡眠の頻度
HSPは中途覚醒が多く、深いノンレム睡眠が短い傾向があります。
そのため、**レム睡眠(夢を見る睡眠段階)**が相対的に多くなり、夢を記憶しやすくなります。
2. 情動記憶の活性化
HSPは海馬と扁桃体の連携が強く、感情記憶が鮮明です。日中の出来事が夢の中で再構成されやすく、感情的な夢やストーリー性のある夢を頻繁に見る傾向があります。
3. 潜在意識の活発さ
HSPは内省的で空想傾向が強く、潜在意識の活動が豊かです。
これが夢の内容に反映され、象徴的・詩的な夢や、他者の感情を代弁するような夢を見ることもあります。
HSPの睡眠を整えるための実践的アプローチ

HSPの睡眠の質を高めるには、脳の過活動を鎮め、安心感を育む環境づくりが重要です。
環境整備
・遮光カーテン・アイマスク:光刺激を遮断。
・耳栓・ホワイトノイズ:音刺激を軽減。
・アロマ・加湿器:嗅覚や皮膚感覚を穏やかに整える。
思考のクールダウン
・寝る前のジャーナリング:頭の中の思考を紙に書き出し、脳の整理を促す。
・マインドフルネス瞑想:今ここに意識を戻し、思考のループを断ち切る。
・呼吸法:副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる。
デジタルデトックス
・就寝2時間前のスマホ断ち:ブルーライトと情報刺激を避ける。
・SNSやニュースの制限:感情的な刺激を減らす。
安心感の育成
・ぬいぐるみや重み毛布:触覚刺激による安心感。
・「眠れなくても大丈夫」という認知の転換:焦りを手放すことで副交感神経が働きやすくなる。
夢を味方につける

HSPにとって夢は、心の整理や感情の昇華の場でもあります。夢を記録し、意味を探ることで、自己理解が深まることもあります。
・夢日記をつける:夢の内容、感情、象徴を記録。
・夢の中の感情に注目する:現実で抑圧された感情が現れることが多い。
・夢を創造性に活かす:詩や絵、物語などに昇華することで、癒しと表現の手段に。
HSPの眠りは「繊細な脳の旅」
HSPの睡眠は、単なる「休息」ではなく、感情と記憶を統合し、自己を癒すための深い旅です。夢の多さや眠りの浅さは、脳の過活動のサインであると同時に、豊かな内的世界の証でもあります。
だからこそ、HSPにとって大切なのは「無理に眠ろうとすること」ではなく、安心して脳を休ませる環境と習慣を整えること。その先に、深くやさしい眠りと、心地よい夢の世界が広がっていくのです。
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