ビタミンB群とは
ビタミンB群は水溶性のビタミンで、精神面、生きるためのエネルギーをつくるためには欠かせない栄養素であることから「代謝ビタミン」とも呼ばれます。
ビタミンB群に属する栄養素としては、
などがあります。
ビタミンB群は、酵素反応の促進、神経伝達物質生成反応を高める働きがあり、お互いが助け合いながら働くため、それ故にビタミンB群は一緒に摂るのが望ましい形とされています。
ビタミンB群の働きの特徴
ビタミンB群で相互作用することで働く
食品から摂取したビタミンB群は、そのままでは働くことができず、体内で「活性型」と呼ばれる働ける形に変換されて初めて作用します。
この活性化の過程では、ビタミンB群同士が互いに助け合いながら働くことが重要です。
たとえば、葉酸(ビタミンB9)が働くためにはナイアシンやビタミンB12が必要で、ビタミンB6が働くためにはビタミンB2が必要となります。また、場合によっては核酸が関わることもあります。
そのため、ビタミンB群を摂取する際は単体ではなく複合的に摂ること、さらに核酸成分も合わせて摂取することで、より効率よく働かせることができます。
補酵素として働く
人の体内では、さまざまな化学反応が起こることでエネルギーが生み出されたり、神経伝達物質が変換されたりしています。
たとえば、Aという物質がBという物質に変化する際、その反応をスムーズに進める役割を担うのが、タンパク質からなる「酵素」です。
しかし、酵素は単独では十分に働くことができず、非タンパク質性の「補酵素」が結合することで初めて本来の働きを発揮し、A→Bの反応が進みます。補酵素にはミネラルやビタミンなどが含まれます。
酵素のタンパク質部分は「アポ酵素」、補酵素と結合して活性化した状態を「ホロ酵素」と呼びます。
たとえば、グルタミン酸がGABAに変換される際にはGADという酵素が必要ですが、このGADに補酵素であるビタミンB₆が結合することで、反応が進むようになります。

エネルギー生成に関わる
ビタミンが補酵素として働く例の一つに、クエン酸回路があります。
食品中の糖質が体内に入ると分解されてブドウ糖がつくられ、ブドウ糖は血液を通って細胞内に入り、「解糖系」によってピルビン酸が生成されます。
その後、ピルビン酸はミトコンドリアに取り込まれ、「クエン酸回路」や「電子伝達系」を経てATP(エネルギー)が産生されます。
これら一連の反応を円滑に進めるためには、多くのビタミンB群やミネラルが補酵素として働いています。


精神面に関わる
精神の働きには、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質が深く関わっています。
ドーパミンやノルアドレナリンはタンパク質由来のフェニルアラニンから、セロトニンは同じくタンパク質由来のトリプトファンからつくられますが、これらの変換反応を進めるには酵素が必要です。
そして、その酵素が十分に働くためには、ビタミンやミネラルといった補酵素が欠かせません。これらの栄養素が揃ってはじめて、神経伝達物質の生成がスムーズに行われます。

各種ビタミンB群の働き
ビタミンB1(チアミン)・・・エネルギー変換に関わる。疲労、精神面に影響

ビタミンB₁は、糖質(ブドウ糖)を細胞内でエネルギーに変換する際に重要な役割を果たします。
糖質が体内で分解されてできたブドウ糖は血液を通って細胞内に入り、「解糖系」によってピルビン酸がつくられます。
その後、ピルビン酸はミトコンドリアに取り込まれ、「クエン酸回路」や「電子伝達系」を経てATP(エネルギー)が生成されます。
これらの反応を進めるには酵素の働きが不可欠で、ビタミンB₁はその酵素を活性化させる補酵素として機能します。
ビタミンB₁が不足すると、このエネルギー生成の回路がうまく作動せず、代わりに疲労物質である乳酸が蓄積します。その結果、疲れやすくなったり、筋肉痛が起こりやすくなったりします。
また、ビタミンB₁は脳や神経の主要なエネルギー源として働き、中枢神経・末梢神経の正常な機能を支え、集中力や記憶力の維持にも関わっています。
炭水化物(糖質)が多く、ビタミンB₁が少ない食品(白米、ジャンクフードなど)を中心とした食生活を続けていると欠乏しやすく、白米が普及した明治初期やジャンクフードが広まった昭和時代には「脚気(かっけ)」が社会問題となったことでも知られています。
参考URL
https://doctorsfile.jp/medication/438/
ビタミンB1が欠乏すると、イライラ、倦怠感、食欲の低下などの症状が表れ、末梢神経や中枢神経に異常が生じ、手や足の先に痛みやしびれが出るようになります。
逆に過剰に摂取しても体内では必要な分しか利用されずに尿として排泄されるので過剰症の心配はありません。
【ビタミンB1(チアミン)を多く含む食品】
●魚介類: ウナギ蒲焼、コイ、タラコ、紅鮭、アイナメ、昆布
●肉類: 豚ヒレ、豚もも、豚ロース、鶏レバー
●穀類: 生そば、玄米、胚芽精米、米ぬか
●豆類: 大豆、えんどう豆、レンズ豆、いんげん豆、落花生 他
ビタミンB2(リボフラビン)・・・新陳代謝を助け、発育に関わる

ビタミンB₂は、体を構成する細胞の新陳代謝を助け、健康な皮膚・髪・爪をつくり、成長を促す働きがあります。そのため、別名「発育ビタミン」とも呼ばれます。
また、体内に取り込まれた三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)を分解してエネルギーに変える際の補酵素として働き、これらの栄養素の摂取量が多いほどビタミンB₂の必要量も増えます。
さらに、老化や動脈硬化を進め、発がん性も指摘される「過酸化脂質」を分解する働きがあるため、過酸化脂質の生成を抑えるビタミンEと一緒に摂ると、より効果的です。
ビタミンB₂が不足すると、口の中・唇・舌・目などの粘膜に症状が現れ、口内炎、口角炎、目の充血や違和感、肌荒れ、髪のパサつきなどが起こりやすくなります。皮膚トラブルが多い方は不足に注意が必要です。
また、脂質代謝とも深く関わるため、ダイエット中は特に十分な摂取が大切です。
ビタミンB₂は水溶性ビタミンなので、過剰に摂取した分は体外に排泄されます。
【ビタミンB2(リボフラビン)を多く含む食品】
●魚介類: ウナギ蒲焼、ドジョウ、、真カレイ、サンマ、ブリ、ウニ
●肉類: 豚レバー、牛レバー、鶏レバー、鶏卵、豚肩ロース
●野菜類: アボガド、モロヘイヤ、菜の花、クレソン
●乳製品: 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム
●豆製品: 納豆、大豆、緑豆 他
ビタミンB3(ナイアシン、ニコチン酸)・・・広い範囲に欠かせない

ナイアシンは、体内に存在するビタミンの中でも特に量が多く、多くの酵素が補酵素として必要とする重要なビタミンです。
ナイアシン(ビタミンB₃)は、糖質・タンパク質・脂質の代謝に不可欠で、血行を改善し、脳神経の働きを高め、皮膚を健康に保つほか、コレステロールや中性脂肪の分解にも関わります。
また、ナイアシンは必須アミノ酸であるトリプトファンを原料として肝臓で合成することもできますが、その際にはビタミンB₁・B₂・B₆が不足していると十分に生成されません。
ナイアシンが欠乏すると、エネルギー生成が滞ることでうつ状態や倦怠感が生じ、皮膚・粘膜・消化管・神経系に影響が出て、食欲不振や不安感などの軽い症状が現れます。
一方で、ナイアシンには血管拡張作用があり、大量に摂取すると一過性の顔面紅潮、上半身のほてり、かゆみなどが起こることがあります。これを「ホットフラッシュ」と呼びます。さらに過剰になると、嘔吐、下痢、肝機能障害が生じることもあります。
飲酒習慣があるとナイアシンの必要量が増えるため、お酒をよく飲む方は意識して摂取するとよいでしょう。
【ナイアシン(ビタミンB3・ニコチン酸)を多く含む食品】
●魚介類: タラコ、カツオ、メバチ、サバ、ブリ、メカジキ、こんぶ
●肉類: 豚レバー、牛レバー、豚ロース、鶏むね
●穀類・芋: 生そば、玄米、スパゲティー、そらまめ、大豆、小麦 他
ビタミンB5(バントテン酸)・・・エネルギー生成にかかわる

パントテン酸は、ギリシャ語の「広く至る所にある」という意味から由来しており、その名のとおり、あらゆる食品に含まれているビタミンです。
炭水化物(糖質)や脂質が燃焼し、エネルギーに変換される際の補酵素として働きます。
ビタミンCの作用を助け、傷ついた皮膚、髪のダメージを助けます。
ストレスホルモンの分泌を促すことから「抗ストレスビタミン」などと呼ばれています。
極度の栄養失調や抗生物質を服用、極度なダイエットをしている場合を除いては、腸内でも合成できるため欠乏することはほとんどありません。
また、過剰摂取しても、不要なものは尿として排泄されるため過剰症の心配もありません。
【パントテン酸(ビタミンB5)を多く含む食品】
●魚介類: 子もちカレイ、ニジマス、タラコ、銀鮭、イワシ
●肉類: 鶏レバー、豚レバー、牛レバー、鶏もも、牛ヒレ、卵
●野菜類: アボカド、モロヘイヤ、干しシイタケ
●豆類: 納豆、大豆、いんげん豆 他
ビタミンB6(ピリドキシン)・・・タンパク質の代謝の中心的存在

ビタミンB₆は、タンパク質の代謝に深く関わるビタミンです。
食物に含まれるタンパク質(複数のアミノ酸がつながったもの)は、一度アミノ酸に分解され、再び体内で必要なタンパク質へと再合成されます。この過程で不可欠となるのがビタミンB₆です。
そのため、タンパク質の摂取量が多いほどビタミンB₆の必要量も増え、十分に摂取することで皮膚や髪を健やかに保つことができます。また、アドレナリン、ドーパミン、セロトニンといった神経伝達物質の生成にも関わっています。
ビタミンB₆は皮膚や粘膜の健康とも深く関係しており、不足すると目・鼻・耳などに脂漏性湿疹が出たり、口内炎や結膜炎が起こりやすくなります。
水溶性ビタミンであるため、過剰に摂取した分はその日のうちに体外へ排泄されます。
【ビタミンB6(ピリドキシン)を多く含む食品】
●魚介類: サンマ、カツオ、メジマグロ、真アジ、ブリ、ヒラメ
●肉類: 牛レバー、牛ヒレ、鶏レバー、牛もも、鶏ささみ
●野菜類: 赤ピーマン、黄ピーマン、さつまいも、じゃばいも、ニンニク
●果実類: バナナ、夏みかん、柿、くるみ 他
ビタミンB7(ビタミンH、ビオチン)・・・皮膚、毛髪成長に関わる

ビオチンは、皮膚炎や脱毛を防ぐ物質として発見され、ドイツ語で皮膚を意味する「Haut(ハウト)」の頭文字をとって「ビタミンH」と名付けられました。
糖質代謝に関わるほか、皮膚・爪・毛髪の成長を助け、筋肉痛を緩和する働きもあります。
また、脂肪酸・ブドウ糖・アミノ酸の代謝に関わる酵素を補助する役割を持ち、タンパク質やRNAの合成にも間接的に関与しています。
ビオチンはさまざまな食品に含まれており、腸内細菌によっても合成されるため、通常の食生活では不足しにくい栄養素です。ただし、抗生物質を長期間服用すると腸内細菌が減少し、欠乏症を起こす可能性があります。
【ビオチン(ビタミンH)を多く含む食品】
●魚介類:真イワシ、鮭
●肉類:鶏レバー、牛レバー、鶏卵、鶏肉、ベーコン
●穀類:オートミール、小麦
●豆類:落花生、大豆、えんどう豆、いんげん豆 他
ビタミンB9,葉酸(ビタミンM,プテロイルグルタミン酸)・・・造血、DNAに関わる

葉酸は、ビタミンB₁₂とともに補酵素として赤血球の生成に関わります。
また、タンパク質の合成に関与し、細胞の新生に必要な核酸(DNA・RNA)をつくる際にも重要な役割を果たします。
そのため、胎児が発育する妊娠中や、乳児を育てる授乳期には特に欠かせない栄養素です。
さらに、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンといった神経伝達物質の生成にも使われ、BDNF(脳由来神経栄養因子)の生成にも関わっています。
通常の食生活で不足することはあまりありませんが、妊娠中の方やお酒をよく飲む方は不足しやすく、注意が必要です。
【葉酸(プテロイルグルタミン酸)を多く含む食品】
●野菜類:菜の花、モロヘイヤ、芽キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー
●果実類:アボカド、いちご、すもも、柿
●豆類:いんげん豆、枝豆、落花生 他
ビタミンB12(コバラミン)・・・造血に関わる

ビタミンB₁₂は、葉酸と協力して骨髄での造血を促し、貧血を予防する働きをもつビタミンです。このことから「赤いビタミン」とも呼ばれています。
また、肝臓の再生に必要なタンパク質や核酸の生成、脂肪の代謝、中枢神経の機能維持にも関わっています。
使用される量はごくわずかで、体内でも一部合成されるため、極端な飲酒・ダイエット・偏食をしない限り不足することはあまりありません。
ただし、植物性食品にはビタミンB₁₂が含まれないため、ベジタリアンの食事を続ける場合は貧血になりやすく、注意が必要です。
ビタミンB₁₂が不足すると、貧血を起こすだけでなく、神経組織の代謝に悪影響を及ぼし、肝臓の再生も滞って弱ってしまうことがあります。
なお、水溶性ビタミンであるため、過剰に摂取した分は尿とともに排泄され、過剰症の心配はほとんどありません。
【ビタミンB12(コバラミン)を多く含む食品】
●魚介類: シジミ、赤貝、サンマ、牡蠣、タラ、海老、アサリ、シジミ
●肉類: 内臓類、牛レバー、鶏卵 他
●乳製品: チーズ 他