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  3. 脳の働きをよくする:神経細胞の基本的な働きを知って、メンタル強化!

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はじめに

神経細胞

うつ病は、かつて「神経症」と呼ばれていたように、神経の働きと深く関わる症状です。
精神的な不調や神経症と呼ばれてきた症状の多くには、自律神経のバランスの乱れが関わっているといわれています。
かつて神経症に分類されていたものには、不安障害(SAD・GAD・パニック症)、摂食障害、睡眠の問題、うつ状態などが含まれます。
これらは、内科的な検査では明確な異常が見つからないことが多いのが特徴です。

気分や感情に関わる不調は、神経の働きがうまく整っていない状態で起こりやすく、神経の回復や安定を促すことが、感情のコントロールや心の状態を整えるうえで大切なアプローチになります。
本ページでは、神経に関わる「神経細胞」「神経伝達物質」「自律神経」について触れながら、心身のバランスを整えていくための考え方やアプローチを紹介していきます。

神経症

神経細胞、神経伝達物質とは?

神経細胞

うつ病と聞くと、まず「神経伝達物質」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
2000年代初期には、「うつ病はセロトニンの減少によって起こる」という説明が広く知られるようになり、うつ病という言葉が一気に身近になりました。
実際に、うつ病になると脳内でセロトニン減少が起こっているのかということは、測定できないため議論もあります。しかし、私が過去に抗うつ薬を使用して調子がよくなったという実感もあるので、経験上起こっていると感じています。

私自身、高校で生物を履修していなかったため、うつ病を経験した当時は、神経伝達物質やトランスポーター、受容体といった専門用語を聞いても、正直まったく理解できませんでした。
同じように、生物の知識がない方にとっては、何がどう関係しているのかイメージしにくいかもしれません。

そこで、このページでは、生物の専門知識がなくても理解できるように、まずは「神経細胞」と「神経伝達物質」について、できるだけやさしく説明するところから始めたいと思います。

神経細胞(ニューロン)

人体は細胞を基本単位としてつくられており、その数は大人で60兆個以上ともいわれています。
脳の細胞は、大きく「神経細胞(ニューロン)」と、神経細胞以外の細胞をまとめた「グリア細胞」に分類されます。

神経細胞の多くは脳に存在し、大脳には数百億、小脳には800億個以上ともいわれる膨大な数の神経細胞が分布しています。
これらが互いにつながり合い、脳内で複雑なネットワークを形成しています。

神経細胞は、中心に細胞核をもつ「細胞体」、その周囲から伸びて情報を受け取る「樹状突起」、そして細長い1本の「軸索」で構成されています。
樹状突起は他の神経細胞からの情報を受け取り、軸索はその情報を別の細胞へ送る役割を担っています。

情報は電気信号として軸索を伝わっていきますが、信号が漏れないように、軸索は「ミエリン鞘」と呼ばれる脂肪の膜で覆われています。これはオリゴデンドロサイト(グリア細胞の一種)によって形成されます。

軸索の先端は枝分かれしており、その先に「シナプス」と呼ばれる他の神経細胞との接続部があります。
シナプスでは神経伝達物質が放出され、それが次の細胞に受け取られることで、電気信号として情報が伝わっていきます。

神経の伝達のしくみ

シナプスとシナプス間隙

神経細胞同士は、お互いが手を取り合うように結びつき、数珠のようにつながりながらネットワークを形成しています。
ただし、完全に密着しているわけではなく、情報を受け取る側と送る側のあいだには、数百万分の1mmほどのごくわずかな隙間が存在します。

神経細胞同士のつなぎ目を「シナプス」と呼び、その隙間は「シナプス間隙」といいます。
神経細胞は電気信号によって情報を伝えていますが、このシナプス間隙は物理的な隙間になっているため、電流そのものが飛び越えて流れることはできません。

そこで活躍するのが「神経伝達物質」です。
神経伝達物質がシナプス間隙に放出されることで、次の神経細胞へ情報が伝わっていきます。

シナプス

神経伝達物質

神経伝達物質には100種類以上が知られており、脳のどの部位にある神経細胞かによって使われる種類も異なります。
それぞれの神経伝達物質は、眠気・イライラ・爽快感といった精神状態の調整や、自律神経のバランスに関わるなど、さまざまな役割を担っています。

精神的な不調と関わりが深いとされる神経伝達物質には、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、そしてヒスタミンがあり、これらをまとめて「モノアミン」と呼びます。

神経細胞の軸索を通って電気信号がシナプスに到達すると、シナプス小胞に蓄えられていた神経伝達物質が放出されます。
放出された神経伝達物質はシナプス間隙を渡り、次の神経細胞に届くと再び電気信号へと変換され、細胞間で情報が伝えられていきます。

以下では、この一連のプロセスをもう少し詳しく説明していきます。


①軸索から電気信号流入
軸索からシナプスに通ってきた電気信号が到達すると、シナプスに電位差が生じる。
②カルシウムイオン取組み
シナプスに生じた電位差により、カルシウムイオンがカルシウムチャネルを通ってシナプス内に流入。
③シナプス小胞開口
カルシウムイオンはシナプス小胞に刺激を与え、開口して神経伝達物質をシナプス間隙に放出。
④神経伝達物質の伝達
神経伝達物質は他細胞にある受容体(レセプタ)に到達し、シナプス間隙にあったナトリウムイオンなどがレセプタ内に取り込まれ他細胞に電気信号が流れる。
⑤神経伝達物質の回収
受容体に到達した神経伝達物質はトランスポーターに回収され、再度シナプス小胞内に貯蔵される。

伝達メカニズム

神経細胞と神経伝達物質の役割

情報は電気信号(電流)として神経細胞を通り、体内を伝わっていきます。
そのため、神経細胞はまるで電気回路の配線のような役割を担っているといえます。

しかし、電流は隙間があるとそのままでは流れません。
そこで活躍するのが神経伝達物質です。
神経伝達物質がシナプス間隙を行き来することで、電気信号を次の神経細胞へと伝える“伝令役”のような働きをしているのです。

神経細胞の情報伝達

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンと精神状態との関係

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは、それぞれ精神状態に関わる神経伝達物質です。
一般的に、ドーパミンは「快楽」や達成感、ノルアドレナリンは意欲や集中、セロトニンは気分の安定やすっきり感に関わるとされています。

ただし、これらは適度な分泌量で働くもので、過剰または不足すると気分や体調に影響が出ることがあります。

セロトニンを高めることはポジティブに語られがちですが、抗うつ薬の多剤併用や、セント・ジョーンズワートなどのサプリメントを過剰に摂取すると、「セロトニン症候群」と呼ばれる状態を引き起こすことがあるため注意が必要です。

※抗うつ薬は、もともと「定型うつ(メランコリー型)」の症状を和らげる目的で開発された薬です。
同じ“うつ”という言葉が使われていても、適応障害のようにセロトニンの低下が主な原因ではないタイプの人が服用すると、セロトニンが過剰になり、かえって症状が悪化する場合があります。

神経伝達物質と精神状態

ストレスと脳神経細胞の関係(ミクロな観点)

ストレスと脳細胞

脳の神経細胞はストレスにとても敏感です。
慢性的に強いストレスを受け続けると、副腎皮質から分泌されるストレスホルモン(コルチゾール)が脳内に影響し、神経細胞の働きが弱まることがあります。
特に記憶に関わる海馬はストレスに反応しやすく、強いトラウマ体験(PTSDや解離症状など)を受けた人では、海馬の萎縮がみられることがMRI研究で報告されています。
また、加齢によっても海馬の神経細胞は自然に減少し、放っておくと毎年1〜2%ずつ減るといわれています。
神経細胞の成長や維持に関わる物質として、BDNF(脳由来神経栄養因子)があります。
しかし、BDNFもストレスによって減少しやすく、その結果、神経細胞が十分な栄養を受け取れず、成長が抑えられたり数が減ったりすることにつながります。
こうした変化が続くと、神経細胞内の神経伝達物質も減少し、脳内での情報伝達がスムーズに行われにくくなります。
さらに、樹状突起が萎縮することで情報処理能力や記憶力が低下し、脳全体が不活発になりやすくなります。
また、神経の軸索を覆うミエリン鞘(オリゴデンドロサイトがつくる脂質の膜)は、電気信号が漏れないように保護する役割を持っていますが、これもストレスの影響で成長が阻害されることがあり、脳の働きが低下する一因になると考えられています。

ストレス以外の神経細胞を減少させる要因

BDNFを減少させる原因は、ストレスだけではありません。
アルコールの過剰摂取、糖分の摂りすぎ、喫煙、運動不足といった生活習慣も、BDNFの低下に関わる可能性が指摘されています。

また、抗精神薬や睡眠薬、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)を長期間使用した場合、神経細胞の働きに影響が出たり、認知機能に変化がみられることがあることも報告されています。
特にベンゾ系は、前頭前野の認知機能を弱め判断力を鈍らせていくため、早期認知症を引き起こす可能性もあります。
こうした点からも、生活習慣や薬の使い方については、専門家と相談しながら慎重に向き合うことが大切だと考えられています。

ストレスと脳神経細胞

・薬漬けにされている人の特徴
アル中あるいは、たばこ喫煙者が非常に多い、学習能力が低い

自律神経とトラウマ(マクロな観点)

自律神経とトラウマ

ここまでは脳神経細胞というミクロの視点で見てきましたが、マクロの視点で捉えると、自律神経もまた体内を巡る重要な神経系統であり、ストレスの影響を受けやすい仕組みになっています。

視床下部

自律神経を統括しているのは、脳のほぼ中央に位置する「脳幹」です。
脳幹には神経の束が密集しており、脳の神経細胞と身体の神経をつなぐ中枢的な役割を果たしています。
その中でも「視床下部」は、自律神経の調整、睡眠中枢、摂食中枢、性中枢、ホルモン分泌の調整など、生きるうえで欠かせない機能を担っています。

一方で、ストレスに関する信号も視床下部の「室傍核」に集まります。
そのため、年齢とともにストレスが積み重なると、機械が老朽化して働きが弱くなるように、神経系統の働きも徐々に低下しやすくなります。
その結果として、自律神経失調症、睡眠の問題、摂食の乱れといった神経症的な症状が現れることがあります。

特に、機能不全家庭で育ち、若い頃から強いストレスにさらされてきた人ほど、早い時期から神経症的な症状が出やすく、社会に出てからも疲れやすかったり、HSP的な敏感さが強く表れやすいことがあります。

また、精神的な不調を抱える人の中には、子どもの頃には発達障害的な特徴が見られなかったにもかかわらず、青年期以降にそうした特徴が現れてくるケースも報告されています。
これは、長期的なストレスによって神経の働きが弱まり、注意力や整理整頓などの実行機能が低下することが影響していると考えられています。

自律神経

精神が弱った状態(うつ病、心の病など精神疾患)

以上をまとめると、精神疾患、神経症的症状などを伴っている人に共通していることは、ストレス、トラウマ(PTSD/解離性障害)により

①脳の神経細胞が全体的に弱っている
②自律神経が乱れている

ということになります。

自律神経と脳


これを水道ポンプに例えると、

脳幹=ポンプ
神経系統・神経細胞=水道管
情報伝達(神経伝達物質・電気信号)=水

という関係に置き換えるとイメージしやすくなります。

衝撃や老朽化でポンプが不安定になると、水の流れが乱れるように、自律神経の不調も同じように働きが不安定になります。

また、事故があったり、手入れされていない配管は、穴が開いたり錆びついたりして、水漏れや詰まりが起こり、水の流れが悪くなります。
これは、慢性的なストレスや不規則な生活が続くことで神経の伝達が滞り、脳の働きが低下していく状態とよく似ています。

脳異常

心の病を克服するためのアプローチ

「心の病」の克服の基礎となるのは、まずは、神経伝達物質の流れをよくしていくことに尽きます。
そのためには、

①脳の神経細胞を蘇らせること 
②自律神経を整えること(交感神経を鎮める。あるいは背側迷走神経のロックを解除する)

この2本柱の視点でアプローチしていくことで、克服までの道筋がより捉えやすくなり、理解もしやすくなるかと思います。

向精神薬は、神経伝達物質の働きに一時的に作用して症状を和らげることがありますが、神経細胞そのものを直接修復するものではありません。
また、薬によっては長期間の使用で耐性や離脱症状が生じることがあり、継続の仕方については専門家と相談しながら慎重に進めることが大切です。
比喩的にいえば、配管の流れを一時的に強めているだけで、配管そのものの状態が改善しているわけではない、というイメージに近いかもしれません。

脳強化アプローチ

②は当ヒーリングを利用して整え、その後①は長期的に取り組んでいくとメンタルの向上がより実感できるようになります。

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