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  3. トラウマ、感情と関わる神経伝達物質8 ~覚醒・摂食・ワーキングメモリ、ダイエットに関わるヒスタミン~

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ヒスタミンとは

ヒスタミン

ヒスタミンは、1907年にまず化学的に合成されたことから研究が始まり、その後1927年になって哺乳類の体内にも存在することが確認された物質です。
赤身魚に多く含まれるアミノ酸「ヒスチジン」から生じるアミンであることから、この名前が付けられました。

体内では主に肥満細胞に蓄えられており、血液中に過剰に放出されるとアレルギー症状を引き起こすことでよく知られています。
一方で、脳内では神経伝達物質として働き、音や光などの外部刺激、あるいは情動・空腹・体温上昇といった内部刺激によって放出が促されます。
その働きは多岐にわたり、オキシトシンの分泌、覚醒状態の維持、食欲の抑制、作業記憶(ワーキングメモリ)などに関与しています。

近年では、食欲抑制や脂肪燃焼を促す作用が注目され、ダイエットとの関連でも研究が進んでいます。

ヒスタミンのもたらす効果

脳内(神経伝達物質としての働き)

ヒスタミンは、脳の中では視床下部で作られて神経伝達物質として働き、覚醒作用や摂食抑性、記憶力に関わります。

覚醒作用  ~シャキッと眠気をさます~

覚醒

ヒスタミンは、眠気を抑えて覚醒を維持する働きをもつ神経伝達物質の一つです
(同じく覚醒に関わる物質として、ノルアドレナリン・セロトニン・アセチルコリン・オレキシンなどがあります)。

ヒスタミンは視床下部後部にあるヒスタミン神経細胞で合成され、大脳皮質へと送られて放出されます。
放出されたヒスタミンは、神経細胞のシナプス前膜に存在する H3型ヒスタミン受容体 に作用し、覚醒状態を保つ方向に働きます。

一方、ヒスタミンの働きを抑える薬(抗ヒスタミン薬)は、この覚醒作用をブロックすることで眠気を引き起こし、睡眠導入剤として利用されることがあります。

作業記憶(ワーキングメモリ)を高める ~頭の回転をよくする~

作業記憶

マウスと人を対象とした研究では、ヒスタミン神経系を刺激する薬物を投与すると、嗅周皮質の神経細胞が活性化され、忘れていた記憶が思い出しやすくなることが報告されています。
その結果、ワーキングメモリ(作業記憶)も向上することが確認されています。

さらに、もともと記憶成績が低い人ほど薬の効果が大きく現れたことから、認知症の症状改善発達障害における認知機能サポートへの応用が期待されています。

摂食行動の抑制コントロール ~満腹中枢を刺激し過食を防ぎダイエット~

ダイエット

肥満の大きな要因のひとつは、必要以上に食べてしまう「過食」です。
視床下部には食欲を調整する満腹中枢があり、ここに存在するヒスタミンニューロンがヒスタミンによって刺激されると、満腹感が高まり、食べたい気持ちが自然と抑えられます

さらに、肥満細胞からは食欲を抑えるホルモンである レプチン の分泌も促されます。
このレプチンの働きによって、過剰な摂食がより強くブレーキされるため、食べ過ぎを防ぐ方向に作用します。

内臓脂肪を燃焼 ~生活習慣病予防~

内臓脂肪

満腹中枢は、交感神経の働きとも深く関わっている領域です。
そのため、ヒスタミンが分泌されて満腹中枢が刺激されると、交感神経の活動が高まり、内臓脂肪の燃焼が促されます

この作用によって、肥満の予防につながるだけでなく、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病のリスクを下げる方向に働くことが知られています。

体内での作用

普段は細胞内の顆粒に貯蔵されており、外部刺激により細胞外へ一過的に放出されます。
ヒスタミンは、外傷や薬などの外部からの刺激に応じて血管を拡張する働きがあり、血圧低下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などの薬理作用、アレルギー反応や炎症の発現時に介入します。
体内にヒスタミンが過剰に分泌されると、アレルギー疾患の原因となります。

ヒスタミン中毒

ヒスタミン中毒

ヒスタミンが高濃度(100mg以上)に蓄積された食品(主に魚介類や加工品)を食べることで、顔面、口周囲、耳たぶが赤くなったり、じんましん、頭痛、嘔吐、下痢といったアレルギー様食中毒を1時間以内に引き起こすことがあります。
これは、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温で放置するといった不適切な管理をすることで、食品中にヒスタミン産生菌が繁殖しヒスタミンが生成されるためと考えられています。
一度できたヒスタミンは熱にも安定であるので、調理しても食中毒を防ぐことはできません。

ヒスタミンは、脳の中で増えると好ましい作用を示しますが、体内で増えすぎるとアレルギー症状を引き起すなど好ましくない症状の出方をします。

ヒスタミンの出来方

ヒスタミンは、赤身魚に多く含まれる必須アミノ酸 ヒスチジン を材料としてつくられます。
摂取したヒスチジンの多くは体内でタンパク質の材料として利用されますが、使われずに残った分は 血液脳関門を通過して脳内へ入ることができます。

脳内の視床下部には、ヒスチジンをヒスタミンへ変換する酵素 ヒスチジンカルボキシラーゼ が豊富に存在しています。そのため、視床下部に到達したヒスチジンはこの酵素によってヒスタミンへと変換されると考えられています。

こうして脳内で生成されたヒスタミンは、ヒスタミン神経の 神経伝達物質 として働きます。
また、脳内では肥満細胞・グリア細胞・血管内皮細胞にもヒスタミンが存在しており、多様な生理作用に関わっています。

一方で、ヒスタミンそのものは 血液脳関門を通過できません
そのため、食品などからヒスタミンを摂取しても脳内には入らず、脳のヒスタミン量には影響しません。
外からヒスタミンを過剰に摂取した場合は、体内のヒスタミン濃度が上昇し、アレルギー症状を引き起こす原因となります。

ヒスタミンと精神障害の関係 ~向精神薬の作用、摂食、PMS~

向精神薬と過食

向精神薬の中には、副作用として強い空腹感や過食を引き起こすものがあります。
その仕組みはまだ完全に解明されているわけではありませんが、有力な理由のひとつとして、ヒスタミン受容体の一種である H1 受容体が阻害されることが挙げられています。

H1 受容体がブロックされると、満腹中枢を刺激するヒスタミンの働きが弱まり、満腹感が得られにくくなると考えられています。
満腹中枢への刺激が低下すると、胃から分泌される摂食促進ホルモン グレリン の分泌が増えます。

グレリンには
・脂肪の利用を抑える
・脳下垂体に作用して成長ホルモンの分泌を促す
・視床下部に作用して食欲を増進させる

といった働きがあり、これらの作用が重なることで、体重増加の誘因となることが知られています。

抗うつ薬のNaSSA(リフレックス、レメロン)の副作用に過眠、過食が強くでることがよく知られていますが、これも抗ヒスタミン作用によるものです。
また、花粉症、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬でも同様な副作用があるため、過食、眠気に注意する必要があります。

PMS(生理前症候群)と過食

強いストレスが続くと、セロトニンやヒスタミンの分泌が低下しやすいことが知られています。
これらの物質は気分の安定や食欲の調整に関わっているため、分泌が減ると心身のバランスが崩れやすくなります。

特に女性では、黄体期後期(生理前の時期)にセロトニン分泌が自然に低下します。
このタイミングで強いストレスが重なると、セロトニンやヒスタミンの不足がさらに進み、気分の落ち込みやイライラが強まることがあります。

その結果として、心の安定を求めて過食に向かいやすくなることも報告されています。

ヒスタミンを増やすには ~過食、肥満防止でダイエット、眠気を覚ます、記憶を呼び戻す~

脳内のヒスタミン量が増えると、過食を防ぎやすくなるほか、覚醒度が高まり、頭の回転が良くなるといった効果が期待されています。
ヒスタミンは、食欲調整や覚醒維持に関わる重要な神経伝達物質のひとつです。

ただし、食品などから ヒスタミンそのものを直接摂取しても脳には届きません
むしろ、外からヒスタミンを過剰に摂ると体内のヒスタミン濃度が急激に上がり、中毒症状(アレルギー反応)を引き起こす危険があります。
そのため、脳内ヒスタミンを増やすには、ヒスチジンの代謝や神経系の働きを整えることが重要とされています。

食事からヒスチジンを摂取する

参考:消費者庁

食事から脳内ヒスタミンの材料を補う場合、ヒスタミンそのものを摂取するのは危険です。
食品中のヒスタミンを大量に摂ると、アレルギー反応に似た**食中毒症状(ヒスタミン中毒)**を起こす可能性が高くなるため、直接摂るべきではありません。

そのため、食事ではヒスタミンの前駆体である ヒスチジン を多く含む食品を選ぶことが大切です。
ヒスチジンが豊富な食品には、
・カツオ・マグロなどの赤身魚
・牛肉
・鶏肉
・ハム
・チェダーチーズ
・ドライミルク
などがあります。

これらの食品からヒスチジンを適切に摂ることで、体内で必要に応じてヒスタミンが生成される仕組みをサポートできます。

咀嚼回数を増やす

噛むことは他にもBDNFを増やす効果もあります。

咀嚼の回数が増えるほど、脳内のヒスタミン分泌が高まりやすいことが知られています。
これは、咀嚼を行うと中脳の咀嚼中枢から視床下部へ信号が伝わり、そこでヒスタミンの放出が促されるためです。

ヒスタミンが増えると満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを抑える方向に働きます
さらに、交感神経が活性化されることで、肥満細胞から食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌も促され、過剰な摂食にブレーキがかかります。

また、ヒスタミンは覚醒レベルや睡眠調節にも関わるため、咀嚼によってヒスタミンが増えると、頭がスッキリしやすく、眠気が抑えられるという効果も期待できます。

ヒスチジンサプリメントを利用

サプリメントでも、ヒスチジンサプリメントが販売されています。
食事の量を減らし、ダイエットしたい方は試してみては?

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