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毒親とは

「毒親」という言葉は、1989年にセラピストのスーザン・フォワード(Susan Forward)が出版した著書『毒になる親(Toxic Parents)』が広く読まれたことをきっかけに一般化した用語です。
母親の場合は「毒母」「毒ママ」、父親の場合は「毒父」と呼ばれ、子どもの人生を支配し、精神的な成長や幸福に深刻な悪影響を与える親を指します。

日本では2008年頃から「毒親ブーム」として注目され、テレビや書籍、SNSなどを通して多くの人が自分の生きづらさの背景に気づくきっかけとなりました。
気分障害(うつ病など)や自己肯定感の低下、人間関係の困難さの根底には、こうした毒親的な関わりが影響しているケースも少なくありません。

毒親の特徴

以下では、代表的な毒親のタイプをより詳しく説明します。

● 神様のような親

〜「親は絶対である」と主張し、支配する親〜
このタイプは、ギリシャ神話の全知全能の神ゼウスのように、自分の言うことは絶対であり、子どもは従うべき存在だと考えます。
恐怖や威圧を使って子どもを支配し、子どもの意見や感情を無視します。
その結果、子どもは「親の機嫌を損ねないように行動すること」を最優先にし、常に緊張した“いい子”として振る舞うようになります。
大人になっても、

・親は正しい
・親は強い
・自分は無力だ

という思い込みが根強く残り、親の行動が有害だったことに気づけないまま苦しむことがあります。

● 義務を果たさない親

〜子どもに親の役割を押しつける〜

親が怠惰であったり、病気や依存症を抱えていたりする場合、本来親が担うべき家事・世話・責任を子どもに押しつけることがあります。
子どもは本来「遊ぶ・学ぶ・安心して過ごす」ことが仕事ですが、その大切な時間を奪われてしまいます。

こうした環境で育った子どもは、大人になってからも強い義務感を背負い込み、
「自分が頑張らなければいけない」
と過剰に責任を抱え込みやすくなります。

● 過干渉でコントロールする親

〜「あなたのため」と言いながら支配する〜

コントロール型の親は、自分が必要とされなくなることを恐れ、子どもを依存状態に留めようとします。
「あなたのためを思って言っているのよ」という常套句の裏には、

・子どもが自立すると不安
・自分の価値が失われる恐怖
・子どもをみじめな状態に留めておきたい心理

などが隠れています。
このタイプの親は自己中心的で、子どもが幸せになることを心から喜べない傾向があります。

● アルコール・薬物依存の親

〜嘘と混乱が日常になる家庭〜

アルコール依存症の親がいる家庭では、
「嘘」「ごまかし」「秘密」が日常化し、子どもは常に不安定な空気の中で育ちます。
その結果、子どもは外見上は普通でも、内面には

・激しい怒り
・深い悲しみ
・うつ状態
・喜びの喪失
・強い猜疑心

などを抱えやすくなります。
薬物依存の親の場合も同様で、家庭内の混乱は子どもの情緒に深刻な影響を与えます。

● いなくなってしまう親

〜突然消える、離婚後に関わらない〜

幼い頃に親が家を出て行ったり、離婚後に全く関わらなくなる場合、子どもは
・理解できない喪失感
・親を理想化する気持ち
・捨てられたという痛み
の間で揺れ動きます。

● 言葉で傷つける親

〜言葉の暴力は脳に深い傷を残す〜

身体的暴力がなければ「暴力ではない」と考える親もいますが、研究では言葉の暴力のほうが脳に深刻なダメージを与えることが示されています。

「お前をもっとましにしてやる」
「世の中は厳しいんだ。耐えられるように教えている」

など、暴言を“教育”として正当化する傾向があります。

● 子どもと競う親

〜子どもの成長を喜べない〜

常に他人と比較し、自分が優位でないと気が済まないタイプです。
子どもの成長を素直に喜べず、嫌味や批判で押さえつけようとします。

その結果、子どもは
「親を超えることは悪いこと」
と感じ、罪悪感を抱くようになります。

● 完璧を求める親

〜実現不可能な期待を押しつける〜

完璧主義の親は、子どもに過度な期待を押しつけ、
「完璧でなければ価値がない」
というメッセージを与えます。

● 暴力をふるう親

〜怒りを抑えられない、または暴力を正当化する〜
衝動的に叩いてしまう親は、内部に怒りやフラストレーションを抱えていることが多く、
「暴力はお前のためだ」
と正当化する場合もあります。

● 性的行為をする親

〜近親相姦は“普通の家庭”でも起こりうる〜
外からは普通に見える家庭でも、ストレスや依存心の強さ、尊厳を尊重しない性格などが背景となり、性的虐待が起こることがあります。

毒親のとる行動パターン

あなたが生きづらいのは、毒親の影響が大いにあります。
毒親に育てられると、感受性が高くなりストレスに過敏となりがちです。

パーソナリティー障害

毒親には、自己愛性・反社会性パーソナリティーの特徴を持つ人が多いと言われています。

自己愛性パーソナリティーの特徴

・肩書や学歴など外側の評価を重視する(学歴厨、学歴コンプレックス)
・自分は特別だと信じている
・称賛を求める
・共感性が低い(HSPではない)

「あなた(お前)のためを思って」が口癖

「あなたのことを思って言っているのよ」
「お前のためを思って口すっぱく言ってるんだ」
この言葉は、自分の行動の責任を回避し、相手をコントロールするための道具として使われます。

使用例

・あなたのことを思って、嫌な事言ってんのよ。私に言わせないでよ!
・お前のことを思って口すっぱくいってんだ。

● 伝え方がまわりくどい

〜直接言わず、罪悪感を利用する〜

「〜しておいてくれる?」と言えばいいところを、
「〜しないと知らないよ」
と脅しのように伝えることで、相手を動かそうとします。

使用例

・はやく夕食の支度しておかないと知らないよ。
・早く帰ってこないとしらないよ。

● 他人事に干渉し、価値観を押しつける

〜世間体を最優先〜

友人関係、進路、職業などに過干渉で、
「世間体が良いかどうか」
を基準に子どもの人生を決めようとします。

使用例

・●●ちゃんとは遊んじゃダメ!
・将来は、公務員か先生になってね。(世間で良い印象をもたれる職業)

●ダブルバインドで自尊心を傷つけ、自分が格上で自立心を育成させない

ダブルバインドとは、直訳すると「二重拘束」という意味で、2つ以上の矛盾したメッセージを相手に伝え、そのどちらに従っても否定する行為です。
毒親は、常に自分を優位に保ちたいため、相手を否定し自尊心を傷つけます。
そのため、子供は自信を失い、自立心が育ちにくくなり社会にでるころには生きづらさを感じるようになります。

使用例

・「これやってくれる?
⇒やって報告する
⇒「やるのはいいけど、もうちょっと丁寧にできない?
⇒丁寧にする
⇒「もうちょっとはやくできないかな~?
⇒はやくやる
⇒「丁寧にはやくできないの?

●プライバシーを侵害し、監視下におきたがる

毒親は、支配したいために、常に人を監視することが得意です。
子供を監視するため、子供の日記を勝手にみたり、部屋の中に何がおいているか掃除をしている時に調べることもあります。
子供部屋がある場合は、部屋に入れるようにドアに鍵をすることができないようにすることも。また、常に自分の手元においておきたいため、家をでて一人暮らしすることに反対することもあります。

●子供(人)はものと考える

毒親は一見、子供に愛情を注いでいるようにみえても、その裏には
将来は親の面倒をみてもらおう
世間体的によい親であることで、自身のプライドを保つための所有物
といった恩着せがましい思考が潜んでいます。
そのため、一見世話焼きで、家庭の外からみると子供思いのいい親にみえます。

●親に逆らうことは裏切りと考える

子供は親のいう事を聞くのが当たり前と思っており、逆らうことはとんでもないと思っています。
親のいうことに従っているうちはいいのですが、もし反抗したり親の希望に逆らうと、烈火のごとく怒りくるうことも。

●依存心が強く、不満をかかえている

何も伝えてくれなかったのに、「~してくれなかった」と愚痴、不満が多く根に持つ。

●被害者意識がつよい

常に自分は被害者だという意識が強く、自分が窮地に陥ったときには
私はかわいそう
アピールをして騒ぎ立てる。
また、説得できないような時には、身内だけでなく親戚にも自分の正当性を話して味方につけ封じ込めようとすることもあります。

毒親の影響から解放されるには

スーザン・フォワードの『毒になる親』では、毒親の影響から抜け出すための具体的なステップが紹介されています。詳細は書籍をお読みください。

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