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脂質とは

タンパク質、炭水化物(糖質)と並ぶ、生命に欠かせない三大栄養素のひとつが脂質です。
脂質は「水に溶けにくい」という性質を持つ生体成分で、体内では水分に次いで多く含まれています。

脂質の多くは、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)が鎖状につながった有機化合物で、さまざまな種類があります。
その中でも最も多いのが、エネルギー(特に蓄積エネルギー)として利用される中性脂肪(グリセリド、アシルグリセロール)です。

脂質は小腸で消化されたあと、種類ごとに複雑な過程を経て吸収され、エネルギー源として使われるだけでなく、細胞膜や核膜の構成成分となるなど、多様な役割を果たします。
余った脂質は中性脂肪として体内に蓄積されますが、摂りすぎると肥満や生活習慣病の原因となります。

そのほかにも、細胞膜の形成に関わるリン脂質、血中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きを持つ植物性油脂のω-6系・ω-3系脂肪酸など、脂質には多くの種類があります。
サプリメントでよく耳にするEPAやDHAも脂質の一種です。

このように、脂質には肉の脂のように固体のものから、植物油のように液体のものまでさまざまな形態があります。
今回は、こうした脂質を構造上の大きな分類から見ていきます。

脂質の働き

脂質の大まかな働きは下記のとおりです。

脂質

過剰になると・・

・脂質を摂りすぎると中性脂肪が内臓脂肪となり肥満、生活習慣病を招きます。
総摂取カロリーの30%以上が脂質による食生活は、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化を招きやすくなります。
特に飽和脂肪酸の影響が大きく、飽和脂肪酸摂取量に留意する必要があります。

不足すると・・・

・疲労しやすくなったり、免疫力の低下、発育の防ぎ、活動する力が弱まります。
・血管、細胞膜が弱くなり脳出血の可能性が高まります。
・体内合成できない必須脂肪酸(ω3脂肪酸、ω6脂肪酸)が欠乏すると皮膚炎を発症します。
・脳も脂質(コレステロール)でできており、うつ病者はコレステロールが低いことも報告されています。

脂質の分類(その1) ~飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸での分類~


脂質は、常温で固まるもの固まらないものに大きく分類できます。
固まる脂質は主に肉類などの動物性食品に多く、固まらない脂質は魚や植物性食品に多く含まれます。

固形の脂質には「飽和脂肪酸」が多く、液体状の脂質には「不飽和脂肪酸」が多いという特徴があります。この違いが、脂質それぞれの性質や体内での働きを決定づけています。

脂質は、油脂類、脂肪の多い肉、乳製品、ナッツ類など、さまざまな食品に含まれています。
肉類やバター、マーガリンなどの固形脂には飽和脂肪酸が多く、えごま油やあまに油などの液体油には不飽和脂肪酸が多く含まれることが、下記の表からも確認できます。

飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸のどちらにも多くの種類がありますが、飽和脂肪酸の中には体脂肪として蓄積されやすい性質を持つものが多いため、肉類など動物性の脂質は太りやすい傾向があります。

  食品名 可食部100g当たりの成分量
脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸
n-3系脂肪酸(g) n-6系脂肪酸(g)
肉類 牛肉リブロース脂身 51.8 18.15 0.07 1.47
牛肉もも赤肉 17.5 5.73 0.02 0.62
ぶたベーコン 39.1 14.81 0.29 3.29
ぶたヒレ赤肉 3.7 1.29 0.03 0.43
鶏皮つき 14.2 4.37 0.09 1.76
鶏ささみ 0.8 0.17 0.02 0.11
油脂類 オリーブ油 100.0 13.29 0.60 6.64
えごま油 100.0 7.64 58.31 12.29
あまに油 100.0 8.09 56.63 14.50
ごま油 100.0 15.04 0.31 40.88
ラード 100.0 39.29 0.46 9.35
マーガリン 83.1 23.04 1.17 11.81
有塩バター 81.0 50.45 0.28 1.86
乳製品 コーヒーホワイトナー植物性脂肪 38.3 32.79 0 0
チェダーチーズ 33.8 20.52 0.26 0.54
プロセスチーズ 26.0 16.00 0.17 0.39
豆類 油揚げ 34.4 3.89 2.26 11.30
黄粉 25.7 3.59 2.02 12.05
ナッツ等 くるみ 68.8 6.87 8.96 41.32
ごま 54.2 7.58 0.19 22.44
アーモンド 51.8 3.95 0.01 12.11
らっかせい 47.5 10.02 0.09 15.57
菓子類 ポテトチップス 35.2 (3.86) (2.40) (12.01)
ミルクチョコ 34.1 19.88 0.09 0.99
チーズケーキ 28.0 (16.93) (0.16) (0.75)

脂質の分類(その2)  ~構造での分類~

脂質は化学構造の違いによっても「単純脂質」、「複合脂質」、「誘導脂質」の3種類に分類されます。
・単純脂質はグリセリド(中性脂肪)
・複合脂質はリン脂質、リポたんぱく質、
・誘導脂質は脂肪酸、ステロイド(コレステロール)
などが属しています。

1.単純脂質(中性脂肪)・・・体内のエネルギー源

アルコールと脂肪酸がエステル結合してできる脂質を単純脂質といいます。
生物に多くみられる単純脂質は、グリセロール(グリセリン)に脂肪酸が結合した構造をしています。

1つのグリセロールには1〜3個の脂肪酸が結合でき、その数によって
モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセリドと呼ばれます。
血液中の中性脂肪のほとんどは、このトリグリセリドです。

そのため「中性脂肪」という言葉には広義と狭義があり、
広義:モノ・ジ・トリグリセリドをまとめた総称である「グリセリド」
狭義:トリグリセリドそのもの
を指します。

中性脂肪は脂質の基本構造で、非常に疎水性(水になじみにくい)が高い物質です。
体内では中性脂肪として蓄積され、エネルギーの貯蔵組織の保護などに利用されますが、量が増えすぎると動脈硬化膵炎のリスクが高まり、肝臓に過剰に蓄積すると脂肪肝の原因として知られています。

必要に応じて中性脂肪は分解され、解糖系やクエン酸回路を経てエネルギー源として利用されます。

2.複合脂質(リン脂質、糖脂質)・・・・細胞膜に重要な役割

複合脂質は、グリセロールに結合している脂肪酸の一部が、リン酸や糖などの成分に置き換わったもので、リンや糖を含む化合物です。

代表的な複合脂質であるリン脂質は、
・水になじむ「親水性」
・水になじまない「疎水性」
の両方を持つ両親媒性が特徴です。
この性質により、生体膜(細胞膜)に最も多く含まれる脂質として、非常に重要な役割を果たしています。

なかでもホスファチジルコリン(レシチン)は、細胞膜リン脂質の30〜50%を占める主要成分で、グリセロリン脂質の中でも最も多い種類です。
大豆や卵黄に豊富に含まれる栄養素としてもよく知られています。

3.誘導脂質・・・単純脂質と複合脂質の加水分解後の生成物

誘導脂質は、単純脂質や複合脂質が加水分解されることで生じるもので、脂肪酸、コレステロール、ステロイドなどがこれに含まれます。
これらは組織の構成成分やエネルギー源として利用されるほか、ホルモンをはじめとする生理活性物質としての重要な働きも担っています。

コレステロールは、ステロイドの中でも「ステロール」と呼ばれるサブグループに属する有機化合物の一種です。
一般的には悪いイメージを持たれがちですが、細胞膜の構成、ホルモンの生成、胆汁酸の合成などに欠かせない、生命維持に重要な物質です。

コレステロールの7〜8割は肝臓で合成され、残りは食事から取り入れられます。
食事からのコレステロールが少ない場合には肝臓での合成量が増え、逆に摂取量が多い場合には肝臓での合成が抑えられます。
そのため、食事から摂取したコレステロールの量が、そのまま血中コレステロール値に反映されるわけではありません。

まとめ

脂質の分子構造は分子が紐状になった脂肪酸をもつのが特徴で、この脂肪酸が動物性(飽和脂肪酸)、植物性(植物性)の分類や太りやすさや働き方にも関わってきます。
次は脂肪酸についてみていきます。

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