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摂食障害とは

摂食障害は、摂食行動に関する障害を呈する精神疾患の一種です。
単なる食欲や食行動の異常ではなく、以下のような心理的要因に基づく食行動の障害が存在することが条件となります。

1.体重に対する過度のこだわり

2.自己評価における体重・体型の過剰な影響

この疾患は神経症的な性質を持つため、神経性食欲不振症(神経性やせ症)と神経性過食症と呼ばれます。前者は一般的に「拒食症」、後者は「過食症」として知られています。
さらに、摂食障害患者の 59〜76% において、自傷行為、アルコールや薬物の乱用、重度の爪噛み、抜毛などの行為が認められています。摂食障害と自傷行為、薬物依存は密接に関連していることが報告されています。

    摂食障害の要因

    摂食障害を引き起こす要因は多様であると考えられます。
    例えば、軽い気持ちで始めたダイエットがきっかけとなり、特に若い女性の場合には「痩せて美しくなりたい」という願望が強まることで、極端かつ不適切なダイエットへとエスカレートしていくことがあります。十分に痩せているにもかかわらず、太ることへの強い恐怖から拒食症に陥り、その反動として過食症に移行し、大量に食べては嘔吐を繰り返す場合もあります。

    摂食障害は、うつ病などの精神疾患とも深く関連しています。背景には家庭環境におけるトラウマや発達障害の傾向が存在することもあり、また HSP(Highly Sensitive Person) のように神経が過度に繊細な人は発症しやすい傾向があるとされています。両親の機嫌を損なわないように「良い子」として振る舞い、親に認められようと努力しても報われず、苦しむ姿を見せても拒絶され十分な愛情を得られない場合、次第に「立派な人間になることの無意味さ」を感じるようになることがあります。

    他者の視線や表情、容姿に過度にこだわり、嫌われないように自分を抑えて周囲に合わせる(過剰同調性)ことで自己が希薄化し、他者への依存が強まる傾向も見られます。無気力な自分を克服しようと外見にこだわり、自己愛が肥大化することで、境界性・演技性・自己愛パーソナリティーの特徴を示すようになる場合もあります。

    さらに、異性との関係においては「見捨てられ不安」が強くなり、相手を追い詰めたり、裏切りを恐れて浮気を疑う、リストカットや脅しによって相手を引き止めようとする行為に及ぶこともあります。安心できる場が得られず、裏切り体験が重なることで見捨てられ不安は一層強まり、交感神経が過度に高ぶり、動悸や不安障害、パニック障害、うつ病へと発展し、人間不信や被害妄想に陥る傾向が強まることもあります。

    摂食障害の主な要因

    ・家庭内ストレス、成長からくる不安
    ・容姿や体系を指摘されたことに対するこだわり
    ・過去のトラウマからくる苦しみを緩和するため
    ・発達障害の傾向
    ・HSP(Highly Sensitive Person)など繊細な性質
    ・自尊心、自信のなさ
    ・食事からくるもの(合成甘味料、糖分の過度な摂取)
    ・低血糖症など
    ・ダイエットやアスリートの食事制限

    摂食障害と脳との関わり

    摂食障害の人に多い性格傾向として、人目を気にしやすく良心的で、強い強迫観念を持ち、「痩せて美しくなりたい」という願望が強い場合が多いとされています。こうした人々は、多くのトラウマを抱えていることがあり、副交感神経の背側迷走神経が優位に働いていることが指摘されています。


    背側迷走神経の働きが強まると、胃や腸の消化活動が活発になり、空腹感が生じやすくなります。その空腹を抑えようとして過食や嘔吐に至ることがあります。さらに、過度な食事制限や過食嘔吐を繰り返すと、全身が飢餓状態に陥り、脳は自然に不足を補おうとして食物への関心を強めていきます。
    その結果、ストレスが蓄積され交感神経が過覚醒状態となり、落ち着いていられなくなります。ストレスを軽減するために過食嘔吐が行われ、定期的に食べ物を摂取しないと強い苛立ちを感じるようになります。過食行動を繰り返しながらも、体重増加を恐れるため、嘔吐や下剤の使用によって体重を維持しようとする傾向が見られます。


    また、摂食障害の人はセロトニンが減少している傾向が報告されていますが、抗うつ薬の服用によって必ずしも改善されるわけではないとされています。

    摂食障害の症状

    摂食障害のある人は、過食の後に強い自己嫌悪に陥り、体重増加を防ぐために意図的に嘔吐したり、下剤を使用して排出しようとすることがあります。
    そのため、過食を繰り返していても体重が正常範囲に保たれている場合が多く見られます。
    一方で、嘔吐や下剤の使用といった代償行動を行わないタイプでは、摂取したカロリーがそのまま体内に吸収されるため、肥満になりやすい傾向があります。

    過食症

    ・めまい
    ・食道炎、胸やけ
    ・低血圧
    ・貧血
    ・胃痛、胃潰瘍
    ・乾燥肌
    ・抑うつ、自傷行為

    拒食症患者の脳をMRIで観察すると、健常者と比較して脳の萎縮が確認されることがあります。これは、ストレスによるコルチゾールの増加に伴う脳細胞の障害や、栄養不足によって脳に十分な栄養が行き渡らないことが原因と考えられています。

    また、摂食障害患者は食費がかさみやすく、経済的困窮から万引きに至るケースが報告されています。ある研究では、患者の約44%が万引きを経験しているとされます。これは脳の萎縮に伴う認知機能の低下により、善悪の判断力や自己抑制力が弱まり、衝動的な行動に結びつきやすくなるためと考えられています。

    さらに、自己中心的な傾向が強まり共感力が低下することで、交友関係に支障をきたし、引きこもりに至る場合もあります。その過程で、自傷行為、アルコール依存、薬物乱用などの自己破壊的行為を伴うことがあり、人生を損なうだけでなく生命の危険に直結することもあります。

    身体的にも深刻な影響が見られます。ホルモンバランスの乱れによる月経不順、ミネラルバランスの異常による低カリウム血症、低血糖症、糖尿病、骨粗しょう症などが発症する可能性があります。特に成長期に摂食障害を発症すると、発育や生命に重大な危険を及ぼすことがあります。

    飢餓状態になると、まず体内に蓄積されているグリコーゲンが分解されます。続いて、筋肉に蓄えられている糖原性アミノ酸が利用され始め、筋肉量の減少が進行します。さらに絶食が続くと、ケト原性アミノ酸の消費が進み、それによって生成されるケトン体が過剰になると、ケトン血症ケトン尿症を引き起こします。

    この状態では、脱水、嘔吐、頭痛、頻脈、低血糖などの症状が現れ、重症化すると昏睡や意識障害に至ることもあります。脳機能へのダメージが加わることで、生命に関わる深刻な状態となる可能性があります。

    拒食症

    ・髪が抜けやすくなる
    ・腎不全
    ・貧血
    ・無月経、不妊
    ・乾燥肌
    ・筋肉の衰弱
    ・脳機能低下による記憶力、思考力低下

    飢餓状態になると、まず体内に蓄積されているグリコーゲンが分解されます。続いて、筋肉に蓄えられている糖原性アミノ酸が利用され始め、筋肉量の減少が進行します。さらに絶食が続くと、ケト原性アミノ酸の消費が進み、それによって生成されるケトン体が過剰になると、ケトン血症ケトン尿症を引き起こします。

    この状態では、脱水、嘔吐、頭痛、頻脈、低血糖などの症状が現れ、重症化すると昏睡や意識障害に至ることもあります。脳機能へのダメージが加わることで、生命に関わる深刻な状態となる可能性があります。

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