はじめに
摂食に関わる体内物質について、今回は「BDNF」について取り上げます。
BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)と摂食
BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)は日本語で脳由来神経栄養因子といい、神経細胞の維持に必要なたんぱく質です。
ストレスにより減少することが知られており、精神疾患者には共通して健常者と比較して少ないことが確認されています。
BDNFは脳の中枢神経に多く存在しますが、近年の研究では、神経細胞の生存,分化、シナプス可塑性に関わる以外にも、摂食抑性、エネルギー代謝作用をもつことが明らかになってきており、BDNFを増やすことが食欲を抑制し、過食や肥満の抑制に繋がってくる効果に期待できることが示唆されています。
BDNFが視床下部の室傍核に発現すると、食欲抑制作用として働くことがマウス実験で示されています。
そのため、摂食障害とBDNFとの関係に関する研究も行われてきています。
BDNFの機能性

BDNFは脳の海馬、前頭前野に多く存在し、記憶や認知機能に影響することが知られていました。
それ以外にも、BDNFが脳内で増加すると、以下のような機能の増強が生じることが研究でわかってきました。
糖、脂質代謝が改善し、食欲を抑制力が高まるため、BDNFを増やす取り組みは、うつ病や認知症以外にも摂食障害や糖尿病にも効果的であることが期待できます。
逆に、脳内BDNFが低下すると、
①記憶力が低下する。
②うつ症状を呈し、気力が低下する。
③不安(攻撃性)が増す。
④肥満、過食、メタボリックシンドロームをもたらす。
⑤寿命を短縮させる。
⑥虚血後の脳梗塞体積が増加する
といった健康面に悪影響がでてきます。
BDNFを増やす方法

BDNFは有酸素運動で増やすことが知られていますが、それ以外にも栄養素、食事法、腸内環境を整える、脳を鍛える(脳トレ)ことでも増えることが確認されてきています。
参考:脳由来神経栄養因子BDNFによる視床下部室傍核を介した摂食調節
参考:「脳機能を高める分泌性タンパク質、脳由来神経栄養因子:BDNF」環境が制御する道具としての、気力と記憶
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