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  3. 栄養素の学習12:炭水化物④腸内環境を整えてくれる食物繊維

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食物繊維

食物繊維は、かつて「食べ物のカス」としてほとんど注目されていませんでした。
炭水化物の糖質のように、直接エネルギー源や栄養素になるわけではありませんが、体内の有害物質の排泄を助けたり、栄養素の吸収効率を高めたり、腸内環境を整えたりと、重要な“アシスト役”を担っています。
こうした働きから、食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれるようになりました。

食物繊維は主に野菜、果物、豆類に多く含まれ、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」に分類されます。
日本人が摂取する食物繊維の約8割は不溶性であり、そのほとんどがセルロースだとされています。

食物繊維の働き

食物繊維の水溶性と不溶性の違いは、働きの違いだけでなく、植物細胞のどの部分に多く含まれるかという点にもあります。
水溶性食物繊維は細胞質の柔らかい部分に多く、不溶性食物繊維は細胞壁の比較的硬い部分を構成する成分です。

食物繊維の種類

水溶性食物繊維は胃や小腸では消化されず、そのまま大腸まで届きます。大腸では善玉菌によって分解され、短鎖脂肪酸がつくられます。これが大腸の細胞の栄養源となるほか、ビフィズス菌などの善玉菌の餌となり、腸内環境を活性化させる働きを持っています。

一方、不溶性食物繊維は、胃や小腸で有害物質やコレステロール、発がん物質などの老廃物を包み込み、便として排泄することで腸内を清浄に保つ役割があります。

食物繊維の働き方

食物繊維の種類

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は腸内で水分を抱え込み、ヌルヌルとしたゲル状になります。このゲルが有害成分を吸着して排泄を促すほか、余分な栄養素の吸収を妨げることで、血糖値の急上昇やコレステロールの増加を抑えます。その結果、糖尿病、動脈硬化、高血圧などの予防に役立ちます。

水溶性食物繊維のもつ効果

ペクチン

ペクチンは、未熟な柑橘類の果皮に多く含まれる食物繊維です。水溶性と不溶性の両方があり、果実が熟すにつれて水溶性の割合が高くなります。
水溶性ペクチンには、血糖値の急上昇を抑えたり、コレステロールの吸収を抑制したりする働きがあり、糖尿病・高脂血症・動脈硬化・胆石などの予防に役立ちます。

一方、不溶性ペクチンは腸内の有害物質を吸着して排泄を促す作用があり、特に便秘や大腸がんの予防効果が期待されています。

ペクチン

     ペクチンを多く含む食品
キャベツ、大根、みかん、オレンジ、りんご、柿 他

グルコマンナン

グルコマンナンは、グルコースとマンノースからなる多糖類で、こんにゃくいもに多く含まれることから「こんにゃくマンナン」とも呼ばれます。体内で消化されにくく、水を吸収して膨らむ性質があるため、胃の中でふくらんで満腹感を与え、食べ過ぎを防いでくれます。

また、低カロリーで、食べたものを包み込んで消化・吸収をゆるやかにする働きがあることから、ダイエット食品としてだけでなく、糖尿病や肥満の予防食材としても利用されています。さらに、腸壁を適度に刺激して排便を促し、腸内細菌(善玉菌)の餌となることで腸内環境を整える作用もあります。

グルコマンナン

    グルコマンナンを多く含む食品
(グルコマンナンを添加した)ダイエット食品など
市販のこんにゃくは不溶性食物繊維

アルギン酸

昆布やわかめなどの海藻類に含まれる、ぬめり成分の正体がゼリー状の水溶性食物繊維です。
この成分はカリウムと結びついており、腸内でカリウムを放出することでナトリウムを吸着し、体内への吸収を抑える働きがあります。そのため、高血圧の予防に効果的とされています。

さらに、血中コレステロールの低下、血糖値の上昇抑制、動脈硬化の予防、便秘の改善など、さまざまな健康効果が期待できます。

アルギンサン

アルギン酸を多く含む食品
昆布、わかめ、もずく、めかぶ、ひじき他

※市販されているアルギン酸製品の多くは「アルギン酸ナトリウム」ですが、ナトリウムを含むため、高血圧予防にはあまり適していません。

フコイダン

フコイダンは海藻に含まれるぬめり成分で、フコースという糖を主成分とし、硫酸基などが結合した物質です。フコイダンには、Fフコイダン、Uフコイダン、Gフコイダンの3種類があります。

昆布やもずくを原料とするフコイダンには、がん細胞のアポトーシス(自殺)や死滅を促す作用があるといわれています。さらに、肝機能の向上、抗アレルギー作用、血圧の抑制など、さまざまな健康効果が期待されています。

フコイダンを多く含む食品
昆布、わかめ、もずく、めかぶなど

コンドロイチン硫酸

コンドロイチン硫酸は、ギリシャ語で「軟骨」を意味する言葉に由来します。体内ではタンパク質と結合して組織にうるおいを与え、血管壁、軟骨、じん帯、関節、角膜、粘液など、さまざまな部位に分布しています。
また、カルシウムの代謝にも深く関わり、骨粗しょう症の予防や、肌のうるおい・若々しさを保つうえで重要な成分です。

食品では、海藻類やなめこなど、ぬめりのある食材に多く含まれています。

コンドロイチン

   コンドロイチン硫酸を多く含む食品
わかめ、昆布、もずく、フカヒレ、スッポン、オクラ、やまいも、なめこ

βーグルカン(グルカン)

ブドウ糖(グルコース)を多く含む多糖類は、総称して「グルカン」と呼ばれます。このうち、きのこ類に含まれるグルカンを「β‐グルカン(ベータグルカン)」といいます。

β‐グルカンは、免疫力を高め、生活習慣病の予防や抗がん作用を持つ成分として古くから知られています。特に、サルノコシカケ科、シメジ科、ハラタケ科のきのこに含まれる「βD‐グルカン」には、強力な腫瘍抑制効果が認められています。

βグルカン

【グルカンを多く含む食品】
干ししいたけ、きくらげ、しめじ、ひらたけ、アガリクス茸 大麦 他

イヌリン

イヌリンは、チコリやゴボウ、玉ねぎなどに多く含まれる水溶性食物繊維の一種です。他の水溶性食物繊維と同様に腸内細菌を活性化する働きがあります。

血中脂肪を低減し、脂肪の吸収を抑えるだけでなく、蓄積を減らす効果も報告されています。血糖値に直接作用するわけではありませんが、食後の血糖値の急上昇を抑え、上昇をゆるやかにする働きがあり、食後だけでなく長期的な改善効果が期待できる点が特徴です。

また、カルシウムやマグネシウムの吸収を促進する作用もあります。そのため、ダイエットに適した食物繊維としてサプリメントにも広く利用されています。

イヌリン


【効果】
・血糖値上昇をゆるやかにし、インスリン分泌抑制。(スローカロリー)
・腸内細菌活性化
・脂肪減少効果
【多く含まれる食品】
菊イモ、ゴボウ、チコリ、玉ねぎなど

おすすめ商品

100%菊芋由来のイヌリンを使用。スティックパウダータイプで、水、コーヒーなどの飲み物や、カレーなどの食事に混ぜるなどお好みの方法で摂ることができます。

ポリデキストロース

ポリデキストロースは、とうもろこしを原料に人工的に合成された水溶性食物繊維で、ヒトの消化酵素では分解されません。グルコース、ソルビトール、クエン酸を混合し、高温で重合させてつくられるため、低カロリーで粘性が低く、整腸作用があることから健康食品に広く利用されています。

もともとは、糖尿病予防や高脂血症の改善を目的として医療用に開発された食物繊維で、整腸作用や肥満予防に加え、血中コレステロールや血糖値を下げる働きがあるとされています。また、発がん性物質の排泄を促す作用も報告されています。

ポリデキストロース

   ポリデキストロースを多く含む食品
食物繊維入り飲料、(ポリデキストロースを添加した)ビスケットや加工食品など

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維とは、水に溶けない食物繊維です。水分を吸収して数倍から十数倍に膨らみ、腸壁を刺激して腸のぜん動運動を高めます。肥満や便秘解消、腸の病気の予防などの効果があります。

不溶性食物繊維の効果

セルロース

セルロースは植物の細胞壁を構成する主成分で、私たちが最も多く摂取している食物繊維です。特に穀類の外皮に豊富に含まれています。独特の粘性を持つため、アイスクリームの増粘剤など食品加工にも利用されています。

腸内では水分を吸収して膨らみ、腸管を刺激するとともに、有害物質を吸着して排泄を促します。その結果、便秘の予防・改善や大腸がんの予防、体内の有害物質の排泄に役立ちます。また、腸内の善玉菌を増やす働きもあります。

セルロース

セルロースを多く含む食品
ごぼう、小麦ふすま、玄米、大豆

リグニン

リグニンは、植物の細胞壁を強固にする役割を持つ化合物で、血中コレステロールを抑制する働きをもつ食物繊維です。強い酸やアルカリにも耐えるため、大腸内でもほとんど消化・吸収されません。また、ポリフェノールとしての性質もあり、腸内の善玉菌を増やすなど、腸内環境を整える作用が高いことが特徴です。

リグニン

リグニンを多く含む食品
イチゴ、梨、ラズベリー、豆類、ココア 他

ヘミセルロース

ヘミセルロースは「半繊維素」という意味で、植物の細胞壁のうち、セルロースとペクチン以外の不溶性食物繊維を総称したものです。セルロースに近い働きを持ち、腸内の善玉菌を増やして有害物質の排出を促すことで、便秘の予防や腸内環境の改善に役立ちます。

ヘミセルロース

ヘミセルロースを多く含む食品
ごぼう、小麦ふすま、玄米、大豆

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