炭水化物とは

炭水化物は、タンパク質・脂質と並んで人体の構成に欠かせない「三大栄養素」のひとつです。
ご飯、パン、麺類といった主食に多く含まれており、代表的な成分として「デンプン」がよく知られています。
分子構造の観点では、炭水化物とは、ぶどう糖(グルコース)や果糖(フルクトース)といった単糖がいくつか連なってできた物質の総称です。
炭水化物は大きく分けると、体内に吸収されて主要なエネルギー源となる 「糖質」 と、消化吸収されずエネルギーにならない 「食物繊維」 に分類されます。
栄養学の文脈で「炭水化物」という場合、一般的にはこのうちの「糖質」を指すことが多いです。
かつて食物繊維は、ほとんど栄養価のない成分として軽視されていました。
しかし、整腸作用をはじめとするさまざまな健康効果が見直され、現在では「五大栄養素」に続く 「六大栄養素」 として重要な位置づけとなっています。
炭水化物の分子構造と分類
炭水化物は、糖質、食物繊維に分類されますが、分子構造によっても分類されています。
まずは、その分子構造からみていきましょう。
分子構造
炭水化物も、タンパク質や脂質と同じく、主に炭素(C)、酸素(O)、水素(H)から構成される有機化合物の一種です。
化学的には、C=O または −CHO を 1 つ持ち、さらに 2 つ以上の −OH 基をもつ化合物が炭水化物と定義されます。
タンパク質がアミノ酸という最小単位が数珠つなぎになってできているように、炭水化物も「単糖」と呼ばれる最小単位の分子がいくつも結合して構成されています。
単糖の中で最も代表的で、エネルギー源として利用されるのが D-グルコース(ぶどう糖) です。
グルコースは 直鎖構造 と 環状構造 の両方をとることができるという特徴があります。
このぶどう糖は、人の体内で基礎的なエネルギー源となる重要な分子です。
そして、この単糖がいくつも結合していくことで、さまざまな種類の炭水化物が形成されます。

単糖の代表ぶどう糖(D-グルコース)の分子構造(2タイプ存在)炭水化物はこのような分子が繋がってできている。

炭水化物の分類
単糖分子が 1 つのものを 単糖類、2 つ結合したものを 二糖類、3 つなら 三糖類…というように、結合している単糖の数によって名称が変わります。
この「単糖がいくつ結合しているか」によって、炭水化物は次のように分類されます。
なお、オリゴ糖については定義がややあいまいで、二糖類を含める場合と、三糖類以上を指す場合があります。
特に、単糖類と少糖類は、糖質の中でも 「糖類」 と呼ばれます。
また、三糖以上で 消化酵素によって分解されない多糖類 は、栄養学的に 「食物繊維」 と定義されています。

炭水化物の特徴
これまでの通り、炭水化物は糖質、食物繊維と分類されます。
それぞれの特徴をみていきましょう。
糖質


生命のエネルギー源
糖質は摂取するとぶどう糖に分解され、主要なエネルギー源として利用されます。
1g あたり約 4 kcal のエネルギーを生み出す栄養素です。
食品では、米・トウモロコシ・小麦・大麦などに多く含まれ、その多くは「でんぷん」として存在しています。
体内に入ると、唾液や膵液の働きによって麦芽糖を経てぶどう糖(D-グルコース)へと分解され、血液を通じて全身の細胞へ運ばれます。
血糖値は血液中のぶどう糖濃度を示すため、炭水化物を摂ると血糖値は上昇します。
血糖値が高くなると、インスリンが分泌されて上昇を抑え、エネルギーとして使われなかったぶどう糖は肝臓でグリコーゲンや中性脂肪に変換され、体内に蓄えられます。
そのため、炭水化物を過剰に摂取すると中性脂肪が増え、肥満や内臓脂肪の増加につながります。
反対に、空腹時などで血糖値が低下すると、グルカゴンなどのホルモンが分泌され、血糖値を上昇させます。
このように、体内では血糖値が一定の範囲(80~140 mg/dL)に保たれるよう調整されています。
しかし、インスリンの分泌や働きがうまくいかず、血糖値が高い状態が続いてしまうのが糖尿病です。
糖質の摂りすぎは肥満や糖尿病の大きな要因となるため、中高年では特に、体内でぶどう糖が過剰にならないよう食事や運動でコントロールすることが大切です。
また、糖質はエネルギー源としてだけでなく、疲労回復や体温維持にも役立つ重要な栄養素でもあります。
糖質が多く含まれる食品
・主食(ご飯、パン、麺類、小麦類)
・イモ類(じゃがいも、サツマイモ、里芋、山芋など)
・菓子類
・甘味料(
・合成甘味料(ダイエット食品、糖質ゼロ、ノンシュガー)
・糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、エリスリトール)
・清涼飲料水
オリゴ糖


オリゴ糖は単糖が3~10個連なったものの総称です。
中でも腸内で消化されずに、大腸に届いて善玉菌の餌となって増やしてくれたり、血糖値の抑制、低カロリーである機能をもったオリゴ糖が注目されています。
これを「難溶用オリゴ糖」といいます。
人に有益な効果をもたらす難消化性食品成分のことを「プレバイオティクス」といいます。
全ての腸内細菌が全てのオリゴ糖を利用できるというわけではありません。
オリゴ糖は、ビフィズス菌増殖研究の中から発見されたものであるように、基本的にビフィズス菌は他の菌種に比べ多種類のオリゴ糖を利用することができます
代表的なオリゴ糖には下記のようなものがあり、大腸においてビフィズス菌の餌になりやすいとされています。
腸内を整えてくれるオリゴ糖
・イソマルトオリゴ糖
・フラクトオリゴ糖
・ガラクトオリゴ糖
・キシロオリゴ糖
食物繊維

食物繊維は、穀類、野菜、果物、海藻、キノコ、豆類などの植物性食品に多く含まれています。
1日の食事から摂取したい食物繊維の目標量は、18~69歳で 男性20g以上、女性18g以上 とされていますが、現代の日本人はこの目標量に届いていないのが現状です。
食物繊維は大きく 「水溶性食物繊維」 と 「不溶性食物繊維」 に分けられ、それぞれが異なる働きで腸の環境を整えてくれます。
水溶性食物繊維

糖質やコレステロールの吸収を妨げ、血清コレステロールや血糖の急上昇を抑える作用があります。
不溶性食物繊維

腸の働きを刺激して、腸内に発生した有害物質の排出を促します。