はじめに
「コレステロール」という言葉は、テレビの健康番組や健康診断の結果などでよく耳にするため、多くの方にとって身近な存在だと思います。
しかし、いざ「コレステロールとは何か?」と聞かれると、意外と説明が難しいのではないでしょうか。
また、心の不調が続くと活動量が低下しやすく、その結果としてコレステロール値が気になりやすくなることもあります。
身体の状態と生活習慣は密接に関わっているため、コレステロールについて正しく理解しておくことは、日々の健康管理にも役立ちます。
そこで今回は、コレステロールの基本的な役割や種類についてまとめてみました。
コレステロールとは
私たちの身体には、中性脂肪・リン脂質・遊離脂肪酸・コレステロールといった4種類の脂質が存在しています。
「脂質」というと悪いイメージを持たれがちですが、健康を保つうえで欠かせない役割を担っており、体内では適度な量を維持することが大切です。
(補足:遊離脂肪酸とは、脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて生じる脂肪のことです。
20分ほどの運動を行うと脂肪細胞から放出され、エネルギー源として利用されます。)
コレステロールが発見されたのは1784年とされ、実は歴史的にも古くから知られている物質です。
脂質の中でも「誘導脂質」に分類され、ステロイド類のなかの「ステロール」と呼ばれるサブグループに属する有機化合物の一種です。
コレステロールや中性脂肪は悪者扱いされることが多いものの、実際には髪や皮膚を滑らかに保ち、細胞膜やホルモンの材料となり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸をつくるためにも欠かせない存在です。
そのため、コレステロールが不足すると、肌や髪が乾燥しやすくなるだけでなく、細菌への抵抗力が低下したり、血管の細胞が弱くなって脳内出血などのリスクが高まることもあります。
HDL(善玉コレステロール),LDL(悪玉コレステロール)とは
コレステロールはアセチル CoA を原料として、主に肝細胞の小胞体や細胞質で合成されます。
そのほか、小腸・副腎皮質・皮膚・大動脈・精巣などでもつくられています。
体内で合成されるコレステロールのうち、約 7 割は肝臓で産生され、残りの 3 割は全身の細胞で合成されたものと、食事から取り入れられたものが占めています。
コレステロールは脂質であるため、そのままでは水分の多い血液中に溶け込むことができません。
そこで、血液と馴染みやすいタンパク質に包まれた形で血流を移動します。
この「タンパク質に包まれた状態」を リポタンパク と呼びます。
リポタンパクの形になることで、コレステロールは血流に乗って全身へ運搬されます。
また、リポタンパクはその大きさや密度の違いによって、4 種類に大別されます。
| リポたんぱくの大きさ (軽い順に) | |
| カイロミクロン(カイロマイクロン) 超低比重リポタンパク(VLDL) |
この二つは主に中性脂肪を運ぶ |
| 低比重リポタンパク(LDL) 高比重リポタンパク(HDL) |
この二つは主にコレステロールを運ぶ |
コレステロールの運搬に関わるのが LDL と HDL で、一般的にはそれぞれ「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」と呼ばれています。
ただし、この“悪玉・善玉”という呼び方は コレステロールそのものではなく、運搬役であるリポタンパクの性質 を指しています。
LDL(悪玉)は、コレステロールを全身の細胞へ届ける役割を担っています。
しかし、使われずに余ったコレステロールを組織に置いてきてしまうことがあり、これが酸化されて 酸化 LDL となると、血管の壁に蓄積しやすくなります。
その結果、動脈が狭くなったり詰まったりして、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めてしまうため、LDLは「悪玉」と呼ばれるのです。
一方、HDL(善玉)は、血管の壁に溜まった酸化 LDL を回収し、コレステロールを肝臓へ戻す働きがあります。
この作用によって動脈硬化の進行を抑えてくれるため、「善玉」と呼ばれています。

HDL(善玉)と LDL(悪玉)は、どちらも身体にとって重要な働きを担っています。
ただ、一般的に“善玉・悪玉”という通称が広まったことや、余分な LDL コレステロールが血液中にたまり、それが酸化して動脈硬化を促すことから、LDL に対して悪いイメージが強くなっていると考えられます。
肝臓に運ばれたコレステロールの一部は 胆汁酸 に変換され、小腸へ分泌されます。
胆汁酸は脂肪の消化・吸収を助ける重要な物質で、役目を終えた後の多くは再び肝臓に戻って再利用されます。
一部は便として排泄され、体外に排出されていきます。
コレステロールが引き起こす症状 ~動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞~
LDL と HDL は、それぞれ「運搬」と「回収」という役割を担っているため、血液中では一定のバランスが保たれています。
このバランスが崩れ、血液中の LDL が多すぎる場合、HDL が少なすぎる場合、あるいは中性脂肪が多すぎる場合に「脂質異常症」と診断されます。
脂質異常症が続き、コレステロール値が極端に高くなると、動脈硬化の原因となります。
血液中のコレステロールが増えすぎると、血管内膜にコレステロールを取り込んだ泡沫(ほうまつ)細胞が集まり、ドロドロしたおかゆのような塊(アテローム)が形成されます。
アテロームが蓄積して血管の内壁が盛り上がると、血液が通る隙間が狭くなります。
さらに、そこにカルシウムが沈着して石灰化が進むと、血管の弾力性が失われ、もろく破れやすい状態になります。これが動脈硬化です。
血管が傷つくと、修復のために血小板が集まって傷口をふさぎますが、やがてその一部が剥がれて血栓となり、血液中を漂います。
この血栓が厚くなった動脈壁に到達すると、細くなった血管を通り抜けられずに詰まらせてしまい、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。
脳や心臓などの太い動脈で起こる動脈硬化は、「粥状(じゅくじょう)動脈硬化(アテローム硬化)」と呼ばれます。

コレステロールを溜めすぎないようにするには
脂質異常症などを受けたときは専門医の指示を受ける必要があります。
そうならないためにも
など、日頃の生活習慣を改善することが第一です。
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