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  3. 脳の働きをよくする:噛む・ガムを噛む

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はじめに

普段の食事で何気なく行っている「噛む」という動作。
子どもの頃から「よく噛んで食べましょう」と言われてきましたが、実はこの“噛む回数”は年代とともに減少しており、現代人は弥生時代の人々のわずか1/6程度しか噛んでいないと言われています。
弥生人が1回の食事で約4,000回噛んでいたのに対し、現代人は600回ほど。
その背景には、木の実や玄米など硬い食べ物が中心だった昔と比べ、現代では調理技術の発達により柔らかい食べ物が増えたことが挙げられます。

「よく噛むと消化に良い」というのはよく知られていますが、実はそれだけではありません。
近年の研究では、噛むという行為が脳の健康にも深く関わっていることが分かってきました。

脳の栄養素とも呼ばれるBDNF(脳由来神経栄養因子)は、神経細胞の成長や学習・記憶、ストレス耐性に関わる重要な物質です。
BDNFを増やす方法はいくつか知られていますが、実は「噛む」こともその一つ。
咀嚼によって脳の血流が増えたり、ストレス反応が調整されたりすることで、BDNFの分泌が促される可能性が示されています。

つまり、「よく噛む」という昔ながらの習慣は、消化だけでなく、脳の健康やメンタルの安定にもつながる大切な行為なのです。

噛む[咀嚼(そしゃく)]とは

噛む行為は、難しい言葉で咀嚼(そしゃく)ともいいます。
咀嚼とは、ただかみ砕くだけではなく、下記の連続したプロセスで行われています。

「咬断:こうだん」:口に入れ、前歯で噛み切ること
「粉砕:ふんさい」:奥歯に運んで砕くこと
「臼磨:きゅうま」:すり潰すこと
「混合」:かみ砕かれたものを唾液と混ぜ合わせ、固まり(食塊)にすること。

ただ、飲み物といっしょに急いで流し込むように食べたり、過食症のように、詰め込んで食べるような行為は、咀嚼のメリットがなくなるということになります。

噛む行為で受けるメリット

ひみこの歯がいーぜ

「噛む」ことで得られる効果として、学校食事研究会のわかりやすい標語

「ひみこの歯がいーぜ」

で紹介します。

「ひ」・・・肥満防止

よく噛むことで満腹中枢が刺激されるために満腹感を感じやすく、食べ過ぎを防ぎ肥満になることの防止になります。

「み」・・・味覚の発達

味覚は舌の表面にある味蕾(みらい)という細胞が、味刺激を受け取り、脳へ刺激信号を伝えることで感じとります。よく食べ物を噛むことで、形、固さを感じることができ、味がよくわかるようになるなど味覚が発達し、脳も刺激されていきます。

「こ」・・・言葉の発達

噛むことで、顔の筋肉が発達し、言葉を正しく発音し顔の表情も豊かになります。

「の」・・・脳の発達・活性化と健康維持

噛むことで、脳の血流が良くなり、運動野、感覚野、前頭前野、海馬、小脳が活性化することが分かっています。
特にうつ病は前頭前野、海馬の働きが弱っているので、噛むことを増やすことで前頭前野、海馬の働きを活性化させ認知機能、記憶力を高めていけます。
また、脳だけでなく、全身の血流も良くなるため、健康面にもよい効果が期待できます。

「は」・・・歯の病気予防

唾液に含まれる「ラクトフェリン」などの抗菌物質は、虫歯菌や歯周病菌の侵入を妨ぎ、増殖を防ぎます。
噛むと唾液の分泌が促させるため、天然の歯周病予防に役立ちます。

「が」・・・がん予防

唾液の成分である「ペルオキシダーゼ」には、食品中の発がん性を抑える働きがあると言われています。

「い」・・・胃腸の働きを促進

消化は、唾液に含まれるアミラーゼ、マルターゼ、リパーゼなどの酵素によって行われます。
よくかみ砕くと唾液が食べ物とよく混合して消化されやすくなるため、胃腸への負担が軽くなり、胃腸の働きを正常に保ってくれます。

「ぜ」・・・全身の体力向上

力を出すときは、歯を食いしばる事によって力を最大限に発揮することができます。
しっかり、かみ合わせができないと、体の平衡バランスが悪くなり、転倒しやすくなるため、運動能力にも大きく影響してきます。

その他にも以下のような効果もあります。

咀嚼(そしゃく)のその他の効果

1.噛むことで脳内BDNFが増加!

実は、意外に思われるかもしれませんが、「噛む」という行為によって脳内のBDNFが増えることが確認されています。
その鍵を握っているのが、私たちの唾液です。

BDNFは脳だけでなく唾液腺でもつくられており、唾液の中にも含まれています。
噛むことで唾液がたくさん分泌され、その中に含まれる有効成分の一部は、舌の下にある粘膜から再吸収されて全身へと運ばれていきます。

特に、口は脳に非常に近い場所にあるため、唾液中のBDNFは脳にも届きやすいと考えられています。
その結果、脳内のBDNF濃度が高まり、神経細胞の働きが活性化することで、脳機能の向上につながるのです。

実際に、ガムを噛むことで記憶を司る海馬が修復されたという研究報告もあります。
「よく噛む」というシンプルな習慣が、脳の健康を支える大切な行為だといえるでしょう。

2.セロトニンを分泌しリラックス効果!

ガムを20分ほど噛み続けると、セロトニン神経が活性化し、セロトニンの分泌量が増えるという研究報告があります。
さらに、リラックスしているときに現れる脳波であるα波が増えることも分かっており、噛むという行為には集中力の向上やリラクゼーション効果が期待できるのです。

プロ野球のバッターが試合中によくガムを噛んでいる姿を見かけますが、あれは単なるクセではなく、実は集中力を高めるための方法として取り入れているのだそうです。

ガムを噛む

以上のことから、「噛む」ことは、BDNFを増やし脳を活性化させることだけでなく、健康維持やリラクゼーション効果など様々な効果があることがわかりました。
しかし、昔と違って現代は、時間に追われる日々のため、なかなかゆっくりと食事ができず、噛む頻度を増やすのも難しいかと思います。
そんなときに有効なアイテムが、「ガムを噛む」ことでしょう。
ガムを噛むことなら、通勤・通学、勉強中でも利用できるので忙しい方にお勧めです。

噛むときの注意

ガムを噛むことは、普段の食生活だけでは不足しがちな咀嚼回数を補うのにとても有効です。
ただし、噛みすぎると逆に負担がかかり、いくつかの不調を招く可能性があります。

たとえば、
 ・歯のエナメル質がすり減り、知覚過敏を引き起こす
 ・顎関節症のリスクが高まる
 ・強いストレス下で噛むと頭痛につながりやすい。
といった症状が挙げられます。

では、どのくらいの頻度で噛むのが理想的なのでしょうか。
目安としては、次の条件が推奨されています。

食事と食事の間に、1日3〜4回程度
1回あたり10分以上噛むこと

このくらいのペースであれば、咀嚼のメリットを得ながら、歯や顎への負担も抑えることができます。

どんなガムがよい?

ガムにもさまざまな種類がありますが、糖分を含むガムを噛み続けると、虫歯の原因になるだけでなく、血糖値に影響して糖尿病リスクを高める可能性があります。
また、糖分の摂りすぎはBDNFの低下とも関連が指摘されており、脳の健康という観点からも注意が必要です。

そのため、味を楽しむことが目的でない場合は、虫歯予防にも役立つキシリトールガムがおすすめです。
キシリトールは砂糖を使わずに甘味を感じられるうえ、歯の再石灰化を助ける働きもあり、安心して咀嚼習慣に取り入れられます。

キシリトールガム

キシリトールとは、白樺や樫の木、トウモロコシなどを原料としてつくられる天然の甘味料です。
果物や野菜にも含まれている成分で、自然界に広く存在しています。

甘さは砂糖とほぼ同じですが、カロリーは砂糖の約75%ほどと控えめで、口に入れるとミントのようなすっとした清涼感があります。
甘味はしっかりありますが、虫歯菌のエサにはならず、さらに唾液の分泌を促す働きもあるため、虫歯予防ガムの甘味料としてよく利用されています。

虫歯予防として選ぶときのコツ


1.キシリトールの含有率が50%以上
50%以上の含有量がないと虫歯予防には効果が得られません。
※キシリトール含有率=キシリトール量(g)×100/炭水化物(g)
2.糖類が0gのものを選ぶ
パッケージの成分表で、糖分が含まれていないか確認しましょう。
ソルビトール、マルチトールもキシリトールと同じく虫歯になりにくいとされています。
3.酸性成分を含まないもの
酸性であるクエン酸、果汁入りのものは、脱炭(歯の表面からミネラルが溶け出す)を引き起すた
めです。

おすすめのキシリトールガム

市販のキシリトールガムには甘さを出すために糖分が含まれている商品も多いので、虫歯予防効果の高い、キシリトール100%配合の歯科医院専売品である「歯科医院専用ガム」を選ぶことをおすすめします。
キシリトール入りの歯科医院専用ガムは糖分を含んでおらず、虫歯の原因となる酸などを作らないことから虫歯の発生を防ぐ効果があります。

オーラルケア 【歯科専用】キシリトールガム ボトルタイプ90粒

歯科専用でキシリトール100%配合品です。
キシリトール以外の甘味料は使用していませんが、ほんのりと甘い味を感じます。
普通のキシリトールガムは、1回あたり2粒推奨のものが多いですが、この商品は1回1粒でよく、コスト的にも優れています。
アップルミント、クリアミント、マスカット味があります。

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