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  3. トラウマ、感情と関わる神経伝達物質6 ~眠りの質を高め、美肌、統合失調症に関わるグリシン~

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グリシンとは

グリシン

グリシンは1820年にゼラチンから発見され、甘味をもつことから当初は「ゼラチン糖」と呼ばれていました。ほのかな甘みと、菌の増殖を抑える静菌作用を活かして、調味料や保存料としてコンビニ弁当などの加工食品にも広く利用されています。

グリシンは私たちの体内にも豊富に存在し、一日に数十グラムが合成される非必須アミノ酸です。
特に、皮膚などを構成するコラーゲンの約1/3を占める重要な成分であり、体内で合成されるアミノ酸の中でも中心的な役割を担っています。

アミノ酸の中では最も小さく単純な分子構造をもち、体内ではセリンやスレオニンといった物質から合成されます。脊髄や脳幹に多く存在し、中枢神経ではGABAに次ぐ主要な抑制系神経伝達物質として働いています。

さらに、体内ではDNAやRNAなどの核酸の合成、血液中のヘモグロビンの構成、筋肉の収縮に必要なクレアチンの原料としても利用されるなど、多岐にわたる生命活動を支えています。

グリシンのもたらす効果

ゼラチン

グリシンは体内でたんぱく質をつくる材料として働くだけでなく、中枢神経では神経伝達物質の一つとしても機能し、運動や感覚、呼吸などの身体機能の調整にも関わっています。

美肌効果

美肌

グリシンは、皮膚のたんぱく質であるコラーゲンを構成するアミノ酸のうち約1/3を占めています。
コラーゲンは肌や骨・関節に存在するため、肌の状態や関節の働きに大きく影響します。

特に、肌の弾力を支える皮膚の真皮層では、コラーゲンの主要構成成分であるグリシンが大きな割合を占めており、肌のハリや弾力を保つために欠かせない成分です。

また、角質層のうるおいを保持する天然保湿因子(NMF)の約40%は、グリシンをはじめとしたアミノ酸で構成されています。
そのため、グリシンは肌の保湿や美肌にも関わる重要なアミノ酸といえます。

睡眠改善

睡眠改善

私たちは入眠するとき、体の内部の温度である深部体温を下げることで、心地よい眠りに入りやすくなります。
グリシンには血管を拡張して体内の放熱を促す働きがあり、その結果として深部体温が下がり、自然な入眠をサポートします。

さらに、グリシンは体内時計に作用して生体リズムを整える働きもあるため、この点からも睡眠の乱れの改善に役立つと考えられています。
特に、質の高い睡眠とされるノンレム睡眠の時間を増やし、深い眠りである徐波睡眠へ早く到達しやすくなることが報告されています。
そのため、睡眠の質が高まり、翌朝の疲労感や眠気が軽減され、日中の作業効率の向上にもつながるとされています。

その他(アンチエイジング、高血圧、脳卒中予防)

アンチエイジング

抗酸化作用をもつことから、生活習慣病や老化の原因となる活性酸素の生成を抑える働きがあり、アンチエイジングの観点でも有用な成分とされています。
また、コレステロール値を下げる作用が報告されており、高血圧や脳卒中の予防に役立つ可能性もあります。

脳内の神経伝達物質としての働き

神経伝達物質

グリシンは、中枢神経(脳内)においてGABAに次ぐ主要な抑制系神経伝達物質として働いています。
大脳皮質などの上位中枢では主にGABAが抑制を担い、脊髄や脳幹といった下位中枢ではグリシンが抑制系の中心的役割を果たしています。

一方で、グリシンはNMDA受容体の補助因子として働くことから、興奮性神経伝達に関わる側面も知られています。
さらに、脳内でセロトニンの分泌を促す働きが報告されており、その結果としてドーパミンやノルアドレナリンのバランスが整い、気分の改善に寄与する可能性が示唆されています。

脳内(中枢神経)体内(末梢神経)
適度な分泌量・GABAとともに抑制系神経伝達物質として働く
・セロトニン分泌を促し抑うつ症状改善
・美肌効果、間接痛予防
・抗酸化作用で老化防止
・コレステロール値下げ高血圧、脳卒中予防
・湿疹や皮膚炎、口内炎の改善
・睡眠の質がよくなる
・セロトニン分泌を促す
過剰・呼吸筋麻痺(日常的には起こらない)
不足・統合失調症の陰正反応・不眠症
・コラーゲンが減少し肌荒れ、弾力低下、関節痛に。

グリシンと精神障害の関係 ~統合失調症の陰性反応と相関~

精神疾患

統合失調症の原因については、ドーパミンの過剰を中心に考える「ドーパミン仮説」と、グルタミン酸の働きに注目した「グルタミン酸仮説」が提唱されています。
従来のドーパミン仮説では、幻聴や幻覚といった陽性症状は説明できても、意欲低下や感情の平坦化などの陰性症状を十分に説明できない点が課題とされてきました。
一方、グルタミン酸仮説では、陽性症状と陰性症状の両方を説明できる可能性があるとして、近年注目が高まっています。

統合失調症の陰性症状がみられる際、グリシンの血中濃度が健常者より低いという報告があります。
グルタミン酸仮説では、NMDA型グルタミン酸受容体の働きが低下していることが想定されていますが、この受容体には「グリシン結合部位(グリシンサイト)」が存在します。
そのため、グリシン濃度の低下がNMDA受容体の働きを弱め、陰性症状の一因になっているのではないかという指摘もあります。

また、グリシンは脳内でセロトニンの分泌を促す働きが報告されており、その影響から、うつ症状の改善に役立つ可能性が示された研究もあります。

グリシンを増やす方法 ~美肌 質のよい睡眠をとる~

グリシンを多く摂ることは、美肌や睡眠の質を改善することに繋がります。
特に、肌荒れで弾力もなくなった、あるいは眠りが浅くよい睡眠がとれない、体内時計を整え睡眠リズムを調整したいという方はグリシンを多く含む食品やサプリを摂ってみるのもいいでしょう。
※ただし、口から摂取してもグリシンは脳関門を通過しないため、脳へ浸透し神経伝達物質としての作用はほとんどありません。

食品からグリシンを摂る

魚介類

グリシンは天然の食品に広く含まれており、応用範囲が広いことから、漬物類やお菓子、珍味など、さまざまな加工食品の調味料として利用されています。
特に、エビ、ホタテ、イカ、カニ、カジキマグロ、牛すじ、鶏軟骨、豚足などの魚介類や肉類に多く含まれています。

エビやホタテなどの魚介類に感じられるほのかな甘味は、グリシン由来の甘味によるものです。

サプリメント

サプリメントでは睡眠サポート用グリシンが販売されています。
心地よい眠りをサポートする3大成分が「グリシン」、「テアニン」、「GABA」です。
これらの成分+さらにトリプトファンが配合されたお得タイプです。

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