目次
自律神経を安定にさせる日常
健康的な毎日を送るためには、まず自律神経を安定させる生活リズムを整えることがとても大切です。
現代はストレスや刺激が多く、特にHSP気質の人はその影響を受けやすいため、心身のバランスを崩しやすい傾向があります。そこで、自律神経を整えるために欠かせないのが、1日の過ごし方そのものを見直すことです。
朝の目覚めから日中の過ごし方、夜のリラックスタイム、そして就寝まで――
一日の流れを「交感神経」と「副交感神経」のリズムに合わせて組み立てることで、無理なく心身を整えることができます。
本記事では、
朝 → 日中 → 夜 → 就寝
という自然なサイクルに沿って、自律神経の切り替えをスムーズにする「理想的な1日の過ごし方」をご提案します。
小さな習慣の積み重ねが、疲れにくく、落ち込みにくく、穏やかに過ごせる心と身体をつくっていきます。
朝の過ごし方

自律神経を安定させて1日を心地よく過ごすためには、朝の過ごし方がとても重要だと言われています。夜のあいだは、副交感神経が優位となり、身体と心をしっかり休ませています。しかし、朝が近づくにつれ、身体は自然に交感神経へと切り替わり、活動するための準備を始めます。
ところが、大きな音の目覚ましで飛び起きる・すぐにスマートフォンを見る・慌ただしく家を出るといった急激な刺激は、この自律神経の切り替えを乱す原因になります。
本来はゆるやかに交感神経が働き始めるはずのタイミングが一気に揺さぶられるため、心身が追いつかず、だるさや不安感、集中力の低下につながることもあります。
そのため、朝はできるだけゆとりを持って目覚める習慣を意識することが大切です。
①朝は30分早起きする。(早寝、早起き)

朝は、副交感神経から交感神経へとゆるやかに切り替わる大切な時間帯です。本来であれば、身体は少しずつ活動モードへ移行し、心も穏やかに目覚めていきます。
しかし、朝ギリギリまで寝てしまい、慌てて飛び起きるような起床では、1日のスタートがどうしてもバタバタしがちになります。すると、一気に交感神経が跳ね上がった状態となり、自律神経のバランスが乱れる原因となってしまいます。
こうした慌ただしい朝が習慣化すると、日中も交感神経が優位になりやすく、落ち着かない、焦りやすい、疲れやすい、といった心身の不調を招きやすくなります。自律神経は「穏やかな切り替え」をとても大切にするため、朝の過ごし方がその日の調子に大きく影響してしまうのです。
そのためにも、朝は余裕を持って起きられるように、早寝早起きを心がけることが基本となります。前夜の過ごし方を整えることで、朝のリズムも自然と整い、交感神経への切り替えがスムーズになります。
さらに、目覚まし時計は刺激の強い大音量ではなく、優しい音や徐々に明るくなる光を使うと、身体が負担なく覚醒しやすくなります。もし可能であれば、カーテンを少し開けて自然光で目覚めるのも良い方法です。
朝の静かなスタートは、その後の1日のメンタルやエネルギーを大きく左右します。自律神経を整え、心地よい1日を過ごすためにも、ぜひ「ゆとりのある朝」を意識してみてください。
②起きたら布団の中でストレッチをする。

目が覚めてすぐに勢いよく起き上がると、急激な血流の変化が起こり、血圧が一時的に低下してめまいを引き起こすことがあります。これは「起立性低血圧」と呼ばれる現象で、誰にでも起こり得るものです。
そのため、朝はできるだけゆっくりと身体を目覚めさせることが大切です。
まずは布団の中で、手足の指を数分ほど軽く動かし、全身の血流を少しずつ促すようにしましょう。次に、足首を回したり、膝を立てて左右に倒すなど、簡単なストレッチを行うと、筋肉も温まり、身体がゆっくりと覚醒モードへと切り替わっていきます。
この“ゆっくり起きる習慣”を身につけることで、睡眠モードから覚醒モードへの移行がスムーズになり、朝のだるさやめまい、ふらつきの予防にもつながります。慌てて起きるのではなく、**「目が覚めたらまずは布団の中で少し動く」**というひと手間を取り入れることが、朝の快適さを大きく左右します。
③太陽の光を浴びる

身体の中には、生体リズムを管理する体内時計が備わっています。
体内時計は、朝の光を検知することで生体リズムを整えていく作用があります。
布団からでたら、カーテンを開け太陽の光を浴びましょう。
④コップ1杯の水を飲む

起きたときのコップ1杯の水は、胃腸を刺激して副交感神経を高め気分を落ち着かせる働きがあります。
また、自律神経や体内時計のスイッチをonにする働きもあるので生活リズムを整えたいときにもやっておきたい習慣の一つです。
⑤起床1時間以内にゆっくり朝食を摂る

朝起床後、1時間以内に朝食を摂ることは、体内時計をリセットする重要なスイッチになります。人の身体は朝の光だけでなく、食事の刺激によっても生活リズム(サーカディアンリズム)が整えられるため、生活のリズムを安定させたい人にとって、朝食は欠かせない習慣です。
また、朝食を摂ることで腸が活発に動き始め、**腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)**がスムーズに働きます。この蠕動運動は副交感神経と深く関わっており、腸が動くことで副交感神経が刺激され、心身がふっと落ち着く方向へ導かれます。
つまり、朝食にはただ栄養を補うだけでなく、自律神経のバランスを整える役割もあるのです。
さらに、朝食を摂る際は、よく噛み、ゆっくり食べることが大切です。急いで食べると消化が追いつかず、自律神経に負担をかけるだけでなく、満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまうこともあります。
ゆっくり味わって食べることで満腹中枢が適切に刺激され、自然と過食防止にもつながり、食後の心の安定感も高まります。
日中の過ごし方

①水を飲む

水分を摂ることは、胃腸にやさしい刺激を与え、副交感神経を高めて心を落ち着かせる作用があります。とくに、朝や日中にこまめに水を飲むことで、胃腸の動きが穏やかに活性化し、不安感の軽減や緊張の緩和にもつながります。
1日に必要な水分量は目安として2リットルと言われていますが、一度に大量に飲むのではなく、こまめに少しずつ摂ることが大切です。ペットボトルやマイボトルに水を入れて持ち歩けば、忘れずに継続しやすく、1日の水分量も自然と整っていきます。
水をこまめに補給することで、身体だけでなく心のバランスも整いやすくなり、自律神経の安定にも大きく役立ちます。
②香り

香りは直接脳に働くため、自律神経に伝わり精神状態に影響を与えます。ラベンダーなどの心地よい香りは、副交感神経を高めてくれるので、手軽に気分を落ち着かせてくれます。
部屋の中によい芳香剤をおいてもいいですし、外出するときは香袋(サシェ)を利用し、空いた時間に利用するのもいいですね。
③散歩

外に出て、軽く汗ばむ程度の15~30分の散歩を行うことは、副交感神経を穏やかに高め、心身のリラックス効果を促してくれます。一定のリズムで身体を動かすウォーキングは、呼吸も整いやすく、自律神経のバランスを整えるのにとても効果的です。
さらに、散歩で太陽の光を浴びることには大きなメリットがあります。太陽光を浴びると、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが合成され、気持ちがすっきりと明るくなり、日中のパフォーマンスが高まりやすくなります。
そして、セロトニンは夜になると睡眠を促すホルモンメラトニンへと変換されるため、夜に自然と眠りにつきやすくなるという利点もあります。
また、太陽光を浴びると体内でビタミンDが生成されます。ビタミンDは骨の形成を促すことで知られていますが、近年ではビタミンD不足が「冬季うつ」の要因のひとつとされており、適度な日光浴はその予防にも役立つことがわかっています。
さらに、運動によって脳内では**BDNF(脳由来神経栄養因子)**と呼ばれる物質も生成されます。BDNFは神経細胞の成長や修復を助け、ストレス耐性を高める働きがあるため、メンタル面の回復を支える重要な栄養素です。
このように、軽い散歩と日光浴は、自律神経の安定だけでなく、心の健康・睡眠の質・脳機能まで幅広くサポートしてくれる、非常に効果的なセルフケアといえます。
④吐く呼吸

呼吸の「吐く」動作は副交感神経を高めリラックス効果を高めてくれます。吸うときは鼻から3秒程度、吐くときは口から6~12秒程度で吐くといいでしょう。緊張する場面の前などはこの呼吸で深呼吸すると不安が和らぎます。
夜の過ごし方

朝起きるときは、できるだけ余裕をもって目覚め、交感神経をゆっくりと高めていく起き方が大切でしたね。穏やかな目覚めは、その日の自律神経のリズムを整え、心身の安定につながります。
一方で、夜になると役割は逆転します。日中に働いていた交感神経のスイッチを徐々に下げ、副交感神経をしっかり働かせて睡眠の質を高めることが大切になってきます。副交感神経が優位になることで、身体はリラックスし、脳も活動モードから休息モードへスムーズに切り替わります。
この「朝は交感神経をゆるやかに高め、夜は副交感神経をしっかり優位にする」というリズムこそが、自律神経を整える基本的な流れです。
①夕食は8時ごろまでに済ませる。

食後すぐに横になってしまうと、消化のために内臓が活発に働き続けるため、身体が休息モードに入れず、眠りが浅くなってしまいます。とくに夜は、副交感神経をしっかり働かせて深い睡眠へと導くことが大切ですが、食後すぐの就寝はその妨げになるのです。そのため、就寝の3時間前(目安として夜8時頃まで)には食事を終えておくことが理想です。
内臓が落ち着いた状態で布団に入ることで、入眠がスムーズになり、睡眠の質も高まりやすくなります。
また、どうしても遅い時間に食べてしまった場合は、消化に負担の少ない軽食にする、量を控える、温かい飲み物で胃腸を整えるなど、身体にやさしい工夫をするとよいでしょう。
②寝酒はしない

たしなむ程度のお酒は、適量であれば副交感神経を高め、気持ちをリラックスさせる効果があります。しかし、寝る直前の飲酒は注意が必要です。アルコールは一時的に入眠を助けるように感じますが、体内で分解される過程で自律神経が刺激され、結果として眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなってしまいます。
そのため、お酒を飲む場合はできるだけ早めの時間帯、たとえば夕食時などにとどめておくのが理想的です。寝る頃にはアルコールの影響が弱まり、心身が自然に休息モードへと切り替わりやすくなります。適量・適時の飲酒を心がけることで、リラックスを妨げず、睡眠の質も損なわずに過ごすことができます。
③入浴はぬるま湯で

お風呂に入るときは入浴方法によっては交感神経を高める、副交感神経を高めるかが変わってきます。
リラックスし副交感神経を高める湯舟の浸かり方は
・温度は39~40度
・最初の5分は肩まで浸かり、残りの10分は鳩尾まで浸かる(計15分)
です。(15分以上は控えましょう)
バスクリン、アロマオイルを入れる、ストレッチ、肩をほぐす、などするとよりリラックス効果が高まります。
④食後、入浴後はゆったりと過ごす

食事や入浴の後は、体や内臓、神経が活動モードから徐々に休息モードへ移行する準備をしています。そのため、このタイミングで激しい運動などで交感神経を強く刺激する行動は、できるだけ避けたほうがよいでしょう。代わりに、おすすめしたいのは、軽いストレッチや瞑想、深い呼吸法など、身体と心の両方をやさしく落ち着かせる方法です。
これらは、余分な緊張やストレスを和らげ、副交感神経を優位にしやすいため、リラックス効果が高く、自然で質のよい睡眠へとつながりやすくなります。寝る前に心と体を“ゆるめる時間”を持つことで、眠りに入りやすくなり、夜の休息が深く、充実したものになります。
⑤就寝30分前にパソコン、スマホをみない

スマホやパソコンなどのデジタル機器から発せられる光(ブルーライト)は、脳を覚醒させ、交感神経を高めてしまうため、寝つきを悪くする原因になります。また、夜に明るすぎる環境で過ごしていると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられてしまい、自然な眠気が妨げられます。
そのため、寝る前の時間帯は、部屋の照明をできるだけ落とし、暖色系やピンク系の柔らかい光に切り替えるのがおすすめです。これらの色味は心を落ち着かせ、副交感神経を優位にしやすく、メラトニンの分泌も促されるため、スムーズに眠りに入りやすくなります。スマホの使用を控えるだけでなく、照明の色や明るさを工夫することで、夜のリラックス効果はぐっと高まり、睡眠の質も向上します。
⑥24時までに寝る

毎晩のように夜更かしを続けていると、翌朝までに疲れや眠気が十分に回復せず、身体の中に疲労が少しずつ蓄積されていきます。すると、休息すべきはずの夜間にも**交感神経が高い状態のまま維持されてしまい、「緊張型睡眠」**と呼ばれる、浅くて回復力の低い眠りになりやすくなります。
この状態が続くと、日中の集中力低下・イライラ・だるさ・不安感など、心身の不調へつながることもあります。そのため、できる限り24時までには就寝する習慣をつけ、しっかりとした深い睡眠を確保することが大切です。
睡眠時間を整えるだけで、自律神経の切り替わりがスムーズになり、翌日の活力や気分の安定にも大きく影響します。毎日の睡眠リズムを整えることは、身体と心のための最も基本的で効果的なセルフケアのひとつです。
自律神経を乱れさせる気をつけたい習慣

では反対に、自律神経を乱れさせてしまう気をつけたい日常習慣を6つ挙げました。
①喫煙

タバコに含まれるニコチンは、交感神経を強く刺激し、血管を収縮させ、血圧や心拍数を上昇させます。その結果、自律神経のバランスが崩れやすくなり、身体への負担も大きくなってしまいます。
さらに、タバコを吸い続けるとニコチン依存が生じます。ニコチンが体内から切れてくると、イライラ感や落ち着かなさが強まり、その不快感を解消するためにまたタバコを吸う――この繰り返しが依存を深めるメカニズムです。
タバコを吸うと一時的にホッとしたように感じるのは、本来のストレスが解消されているのではなく、ニコチン切れによる不快感が一時的に抑えられているだけなのです。
タバコは向精神薬ほどではないにせよ、習慣化しやすく、やめにくい依存性を持つため、健康的な自律神経バランスを保つうえでも吸わないことが望ましいでしょう。ストレス対処としても、深呼吸や軽い運動、休息などのほうが、長期的に見てはるかに健全で効果的です。
②過度な不安をなくす生活習慣

適度な不安は意欲を高め、向上心の原動力となる良い側面もあります。
しかし、不安が過度になると交感神経が過剰に働き、自律神経の乱れにつながってしまいます。そのため、不安要因をなるべく増やさない生活づくりが大切です。
具体的には、早寝早起きの習慣をつくることや、部屋や持ち物の整理整頓を心がけることなどが効果的です。時間にゆとりを持った生活を送ることで、心の緊張が和らぎ、不安の軽減につながります。
③食後、疲れたらすぐ寝ることは避ける

仕事や学校から帰ってきて疲れていると、ついソファやベッドに座ったまま眠ってしまうことはありませんか?
しかし、疲れているときほど一度休んでしまうと、再び動き出すために大きなエネルギーが必要になります。さらに、そのまま寝てしまうと夜の睡眠に影響が出てしまい、生活リズムが乱れる原因にもなります。
帰宅したら、まずは食事や入浴など必要なことを先に済ませるほうが、むしろ身体が目覚めてスムーズに行動できます。疲れているときこそ、少し身体を動かすことでだらだらしたリズムを防ぎ、自然と生活習慣が整いやすくなります。
④寝る前のアルコール・カフェイン

朝の目覚めに飲むカフェイン飲料(緑茶・コーヒー・紅茶)は、頭をすっきりさせ集中力を高めてくれるため、とても有効です。
しかし、夜寝る前にカフェインを摂ると覚醒作用によって眠りが浅くなり、睡眠リズムが乱れる原因になります。カフェインはなるべく14時以降は控えるようにしましょう。
また、適度なお酒は副交感神経を優位にしリラックス効果を与えてくれますが、寝る直前の飲酒や飲みすぎは睡眠の質を下げるため注意が必要です。飲むなら夕食時など早めの時間がおすすめです。
おすすめ飲料
⑤姿勢を正しくする(猫背にきをつける)

うつ病、パニック障害、摂食障害の方には猫背になりやすい傾向があります。猫背になると胸が圧迫され、呼吸が浅くなりやすくなります。呼吸が浅い状態では心拍数が上がり、交感神経が優位になってしまうため、無意識に身体が緊張し、肩こりや頭痛の原因にもつながります。
歩くときも座るときも、背筋を軽く伸ばすことを意識するだけで呼吸が深くなりやすく、副交感神経が働きやすい状態になります。まずはできる範囲で姿勢を整える習慣をつけてみましょう。
⑥寝る前のスマホ、パソコン

スマートフォンやパソコンのモニターからは、交感神経を高めるブルーライトが発せられています。夜にブルーライトを浴びると、睡眠に関わるメラトニンの合成が妨げられ, 眠気が起こりにくくなってしまいます。その結果、寝つきが悪くなる大きな要因にもなります。
夜はなるべくスマホやパソコンの使用を控えるか、ブルーライトカット設定・メガネを利用するなどの対策を行い、睡眠の質を守りましょう。
ブルーライトカット