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パーソナリティー障害とは

人の性格は生まれもった遺伝的性格だけでなく、家庭環境、宗教、地域性、学校生活といった育成環境の影響によって人格が形成されていきます。
国、地域によっても国民性、県民性など性格傾向が違っていますが、その国の文化の平均的生活環境から大きくずれると、生きづらさを感じてくるようになりますが、精神疾患など伴うような場合は、パーソナリティー障害が利用あるいは診断されることもあります。(通常は診断されません)
パーソナリティ障害の定義としては、シュナイダーの「その性格のために自ら悩むか、他人を害するか」という定義がその後も踏襲されています。
しかし、診断すると何の問題を抱えていない人でも該当したり、環境、年齢的にも変化していくため基本皆、人格障害なのでしょう。
性格特性としてあくまで参考程度に留めておくのがよいでしょう。

パーソナリティーの人口分布

対人口比発達障害タイプ
スキゾイド(ジゾイド)
孤独を愛する平和主義者
内向的
7.5%(男性が多い)ASD
統合失調型
被害妄想的な疑い深さを持ち、人とかかわろうという動機がない
内向的
3%ASD
妄想性
プライド高く疑いやすい
2~4% 男性に多いASD
強迫性
こだわり、完璧性が強い
自分のルール
内罰的
0.5~2%ASD
回避性
自己肯定感が弱く他者と関わろうとしない
面倒なことは後回しにする
内向的
0.5~1% 
男女比は同程度
ASD
依存性
他者に依存してしまい自発的行動がとれない。
内向的
0.6%ASD
境界性(ボーダーライン)
2極思考
自己破壊的・見捨てられ感
1~2% 
女性は男性の2倍
ADHD
演技性
注目。賞賛を浴びたい
共感性がない
外向的
2~3% 
女性に多い
ADHD
自己愛
自分は特別な存在
過剰な賛美を求める
共感性がない
外向的
5% 
男性に多い
ADHD
反社会性
トラブルメーカー
共感性がない
外向的
4% 
男性は女性の3倍
ADHD
精神病質
(サイコパス)
罪悪感を感じない
共感性がない
外向的
害するタイプ
2~3%

A群(奇妙で風変わりなタイプ)

妄想性(パラノイア)パーソナリティー障害

妄想性(パラノイア)パーソナリティ障害とは、はっきりした根拠がなくても「他人は自分に悪意を持っている」と感じやすく、相手の言動の裏に敵意や攻撃性を読み取ってしまう傾向が続く状態を指します。本人にとっては自分を守るための正当な反応であっても、周囲から見ると不可解で攻撃的に映ることが多く、その結果として人間関係がこじれ、実際に距離を置かれてしまうこともあります。

一般的には男性に多いとされ、特徴として、プライドの高さ、硬さ、傷つきやすさ、秘密主義、不信感、そして人を許しにくい傾向などが挙げられます。人を信じられない気持ちが強いため、「裏切られるのではないか」という恐れが大切な相手に向かうと、必要以上の心配や監視につながり、電話・メール・SNS・行動の把握など、ストーカー的な行動に発展する危険性もあります。

しかし一方で、妄想性パーソナリティの人には、見落とされがちな長所も多く存在します。
交渉や駆け引きが上手で、エネルギッシュに行動でき、礼儀正しく、秩序や約束を大切にする姿勢を持っています。また、強い忠誠心を抱くことがあり、他人の気持ちの変化に敏感で、細やかな気配りができるという側面もあります。こうした特性は、環境によっては大きな力となり、信頼される存在として活かされることもあります。

4つ以上で該当
A. 他人の動機を悪意あるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

1.十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を加える、またはだますという疑いを持つ。
2.友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。
3.情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。
4.悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。
5.恨みをいだき続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。
6.自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する。または逆襲する。
7.配偶者または性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理に合わない疑念を持つ。

B. 統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、または、他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない。

スキゾイド(ジゾイド)パーソナリティー障害

このタイプの人は、社会的な関係にあまり関心を持たず、むしろ自ら孤独を選ぶ傾向があります。友人はほとんどいないか、いてもごく少数で、基本的には一人でいることを好み、孤独を寂しいとは感じません。物質的な欲求や金銭欲、出世欲、名誉欲といった、多くの人が抱きがちな欲望から距離を置きたいと考えることが多く、世俗的な競争や評価に巻き込まれることを望みません。

性格は平和主義的で、悪口や噂話を口にすることもなく、周囲に害を与えることはほとんどありません。口数は少なく、存在感も控えめで、目立つことを避ける傾向があります。服装や外見への関心も薄く、流行やファッションとは無縁であることが多いです。また、異性への関心も乏しく、性的な関係を積極的に求めることもありません。

4つ以上で該当
A. 社会的関係からの離脱、対人関係場面での情動表現の範囲の限定などの広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。
1.家族を含めて、親密な関係をもちたいとは思わない。あるいはそれを楽しく感じない
2一貫して孤立した行動を好む
3.他人と性体験をもつことに対する興味が、もしあったとしても少ししかない
4.喜びを感じられるような活動が、もしあったとしても、少ししかない
5.第一度親族以外には、親しい友人、信頼できる友人がいない
6.賞賛にも批判に対しても無関心にみえる
7.情緒的な冷たさ、超然とした態度あるいは平板な感情。

B.統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、他の精神病性障害、または自閉スペクトラム症の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない。

統合失調型パーソナリティー障害

統合失調型パーソナリティー障害は、社会的な関係を自然に築くことが難しく、他者との距離が常にどこか遠く感じられるタイプです。人との交流に不安やぎこちなさを抱えやすく、親密な関係を求める気持ちそのものが弱いことも多く、結果として孤立した生活になりがちです。
思考や知覚のあり方に独特の傾向が見られ、直感的・神秘的な考え方を好んだり、他者には理解されにくい独自の信念や世界観を持つことがあります。ときに、周囲の出来事を「自分に関係している」と感じたり、普通の人には気づかない意味を読み取ろうとすることもありますが、本人にとっては自然で一貫した感覚です。

感情表現は控えめで、表情や声の調子が平板に見えることがあり、外見や身だしなみに無頓着な傾向もあります。人との距離感がつかみにくいため、周囲からは「不思議な人」「つかみどころがない人」と見られることがありますが、内面には繊細さや豊かな想像力が宿っていることも少なくありません。
孤独を苦痛と感じないどころか、むしろ静かな時間の中で自分の世界に没頭することを好みます。
社会的な競争や評価から距離を置き、物質的な欲望にもあまり興味を示さず、淡々とした生活を選ぶ傾向があります。

5つ以上で該当
1.関係念慮を持ち偶然の出来事に特別な意味づけをするが、確信を持っている関係妄想はではない。
2.文化規範から離れた奇妙なあるいは魔術的な信念があり、テレパシーや予知などで、簡単な儀式を伴うこともある。
3.無いものがあるように感じるというように、知覚の変容がある場合がある。
4.過剰に具体的であったり抽象的であったり、普通とは違った形で言葉を用いたりするなどの奇異な話し方をする。
5.妄想様観念を持ち、疑い深く、自分を陥れようとしているのではないかなどと考える。
6.不適切または限定された感情は、良好な対人関係を保つのに必要なことをうまく扱えない。
7.奇妙な癖や外観は、視線を合わせなかったり、だらしのないあるいは汚れた服装などの特徴を持つことがある。
8.親族以外にほとんど友人がいない。
9.過剰な社会不安は、慣れによって減じることはなく、妄想的な恐怖によってである。

B群(劇場型 感情的で移り気)

反社会性パーソナリティ障害

反社会性パーソナリティ障害とは、社会のルールや他者の権利を軽視し、衝動的で攻撃的な行動を繰り返しやすい傾向をもつパーソナリティのあり方です。嘘をついたり、他人を利用したりすることにためらいが少なく、周囲に迷惑や損害を与えても罪悪感を抱きにくいという特徴があります。約束や責任を守ることが苦手で、仕事や金銭管理、人間関係においても無責任な行動が目立つことがあります。


衝動性が強いため、思いついた行動をそのまま実行してしまい、暴力やトラブルに発展することも少なくありません。法律違反を繰り返すケースも多く、子どもの頃から反抗的・攻撃的な行動が続いていた場合、成人後にこの傾向が固定化することがあります。
一方で、外面的には魅力的に見えることもあり、話術に長けていたり、堂々とした態度をとるため、初対面では好印象を与えることもあります。しかし、関係が深まるにつれて、他者を操作したり利用したりする側面が現れやすく、周囲とのトラブルが絶えないことが特徴です。


このような傾向は、遺伝的な要因や幼少期の虐待・ネグレクトなどの環境要因、脳の働きの偏りなどが複雑に関わって生じると考えられています。年齢を重ねるにつれて衝動性が弱まり、行動が落ち着く場合もありますが、周囲のサポートや適切な支援が重要とされています。

3つ以上で該当
A. 他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降で起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。

1.逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
2.虚偽性。これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。
3.衝動性、または将来の計画を立てられないこと。
4.いらだたしさおよび攻撃性。これは身体的な喧嘩または暴力を繰り返すことによって示される。
5.自分または他人の安全を考えない無謀さ。
6.一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
7.良心の呵責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、それを正当化したりすることによって示される。
B. その人は少なくとも18歳以上である。
C. 15歳以前に発症した素行症の証拠がある。(素行症についてはこちらを参照)
D. 反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中の症状によるものではない。

境界性パーソナリティー障害

境界性パーソナリティ障害は、感情が大きく揺れ動きやすく、対人関係や自己イメージが不安定になりやすいタイプのパーソナリティ障害です。気分が急激に変化し、相手を理想化したかと思えば、些細な失望をきっかけに一気に拒絶へと傾くなど、関係性が極端な振れ幅を持つことが特徴です。
もっとも中心にあるのは、「見捨てられることへの強い恐れ」です。実際の出来事だけでなく、想像上の不安によっても強い動揺が起こり、相手を引き止めようと必死になったり、逆に怒りや攻撃性が爆発したりすることがあります。この不安定さは、本人にとっても非常に苦しく、感情のコントロールが難しい状態が続きます。
自己像も安定せず、ある時は自信に満ちていても、別の時には自分が空っぽで価値のない存在だと感じるなど、自己認識が大きく揺れ動きます。慢性的な空虚感を抱えることも多く、その苦しさから衝動的な行動に走ることがあります。過食、危険な行動、薬物使用、性的衝動、自傷行為など、自己を傷つける行動がみられることもあります。
強いストレスのもとでは、一時的に現実感が薄れたり、自分が自分でないように感じる「解離」や、妄想的な思考が生じることもありますが、これらは持続的ではなく一過性であることが多いとされています。
境界性パーソナリティ障害は、遺伝的要因と幼少期の環境(虐待・ネグレクト・不安定な養育など)が複雑に影響して形成されると考えられています。治療には、感情調整を学ぶ心理療法(DBTなど)が有効とされ、適切な支援によって症状が安定していくことも多く報告されています。

5つ以上で該当

1.現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気も狂わんばかりの努力
2.理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式
3.同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像や自己観
4.自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食い)
5.自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し
6.顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2 – 3時間持続し、2 – 3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)
7.慢性的な空虚感
8.不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかをくり返す)
9.一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状

演技性パーソナリティ障害

演技性パーソナリティ障害は、過度に注目を集めようとする行動と、誇張された感情表現を特徴とするパーソナリティ障害です。本人は無意識のうちに「自分が注目の中心でいたい」という強い欲求を抱えており、注目されていないと不安や落ち込みを感じることがあります。
感情表現は非常に派手で、泣いたり笑ったり怒ったりといった反応が大げさに見えることが多く、しかしその感情は表面的で急に切り替わるため、周囲からは「芝居がかっている」「本気に見えない」と受け取られることがあります。また、外見や服装に強いこだわりを持ち、性的に誘惑的・挑発的な態度をとることもあり、これが対人関係のトラブルにつながることもあります。
他者からの影響を受けやすく、意見や価値観がその場の雰囲気で変わりやすいという特徴もあります。自己像が不安定で、内面が希薄に感じられることがあり、そのため外側の評価や反応に依存しやすくなります。新しい刺激を求める傾向が強く、退屈を嫌い、劇的な出来事を求めることもあります。
また、虚言を用いて自分をよく見せようとしたり、被害者や「かわいそうな人」の役割を演じて周囲の同情を引こうとすることもあります。これらの行動は意図的というより、本人にとって自然な対処パターンであり、周囲との関係が不安定になりやすい理由にもなっています。
原因としては、幼少期の愛情不足や不安定な養育環境、虐待経験などが関係すると考えられています。治療には心理療法が中心で、特に感情の扱い方や対人関係のパターンを理解し直すアプローチが有効とされています。

5つ以上で該当
1.自分が注目の的でないと楽しくない。そのために話を作り出したり、騒動を起こすこともある。
2.不適切なほどの誘惑的、挑発的な性的な行動があり場面を選ばない。
3.感情の表出がすばやく変化しそれは浅薄である。
4.注目をひこうと身体的な外観を用いる。
5.印象的だが中身のない話し方をする。
6.他の人から見ると芝居がかったような演劇的な表現を行う。
7.被暗示性があり、その場面や流行に影響されやすい。
8.他者を実際以上に親密とみなし、知人をかけがえのない親友のように 言ったり、会っただけの人を下の名前で呼んだりする。

自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic Personality Disorder:NPD)は、自分は特別で優れているべきだという強い信念と、他者からの賞賛を求める欲求を中心に成り立つパーソナリティ障害です。外側から見ると自信に満ちているように見えますが、その内側には非常に脆く不安定な自尊心があり、批判や失敗に対して過敏に反応します。
このタイプの人は、自分の能力や業績を誇張し、特別扱いを当然のように求めることがあります。成功・権力・理想的な愛などの空想にとらわれることも多く、他者を自分の目的のために利用してしまう傾向も見られます。また、他人の気持ちに共感する力が弱いため、周囲の人が疲弊したり、関係が破綻しやすいという特徴があります。
一方で、外面的には魅力的で話術に優れ、堂々とした態度をとるため、初対面では好印象を与えることもあります。しかし、関係が深まるにつれて、嫉妬心や傲慢さ、他者への配慮の欠如が表れ、トラブルにつながることがあります。
原因としては、遺伝的要因、幼少期の過度な賞賛や過度な批判、不安定な養育環境などが複雑に関わると考えられています。治療は簡単ではありませんが、心理療法を通じて自己理解を深め、対人関係のパターンを見直すことで改善が期待できるとされています。

5つ以上で該当
1.自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)
2.限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
3.自分が “特別” であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係があるべきだ、と信じている。
4.過剰な賛美を求める。
5.特権意識(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)
6.対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
7.共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
8.しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
9.尊大で傲慢な行動、または態度

C群(不安型)

回避性パーソナリティー障害

回避性パーソナリティ障害とは、強い劣等感と拒絶への恐れから、人との関わりを避けてしまう傾向をもつパーソナリティ障害です。批判されたり笑われたりすることに非常に敏感で、否定される可能性がある場面を避けようとするため、社会的な活動や新しい人間関係に踏み出すことが難しくなります。
このタイプの人は、孤独を望んでいるように見えることがありますが、実際には人とつながりたい気持ちを内側に抱えていることが多く、その矛盾が苦しさを生みます。自分には魅力がない、価値がないという思い込みが強く、他者より劣っていると感じやすいため、好かれる確信がない限り関係を築こうとしません。
拒絶や批判に対して非常に傷つきやすく、些細な否定でも深く落ち込むことがあります。そのため、会議や集まり、新しい環境など、評価される可能性のある場面を避ける傾向が強くなります。結果として孤立しやすいものの、孤独そのものを望んでいるわけではなく、傷つくことへの恐れが人との距離を広げてしまうのです。
このような傾向には、幼少期の拒絶経験や過度な批判、不安定な養育環境が影響していると考えられています。また、生まれつき対人不安が強い気質も関係するとされています。治療には、否定的な思考パターンを見直す認知行動療法や、対人関係の築き方を学ぶ心理療法が有効とされ、安全で否定されない環境があることで少しずつ対人不安が和らぐことも多いとされています。

4つ以上で該当
社会的抑制、不全感、および否定的評価に対する過敏性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる.

1.批判や拒絶に対する恐れのために、職業、学校活動を避けていること。
2.好かれているという確信がないと親しい人間関係が作れない。
3.親密な関係でも遠慮がちであり、親密となるには批判なしで受け入れられていると確信したり、繰り返し世話をされるということを必要とする。
4.批判などに過敏であること。
5.不適切という感覚や低い自尊心があるため、新しい対人関係では控えめである。
6.自分が劣っていると感じている。
7.新しいことに取り掛かりにくい。

依存性パーソナリティー障害

依存性パーソナリティ障害とは、他者に面倒を見てもらいたいという強い欲求と、自分一人では決められないという不安を中心とするパーソナリティ障害です。自分の力では生活を支えられないという感覚が常にあり、その不安を埋めるために、特定の人物にしがみつくように依存してしまいます。
このタイプの人は、日常の小さな決断でさえ他者の助言や承認を必要とし、反対意見を述べることを恐れて相手に従ってしまうことがあります。自信のなさから自分で物事を始めることが難しく、誰かに導いてもらうことで安心を得ようとします。そのため、相手の要求に過度に合わせたり、不利な状況でも離れられなかったりすることがあります。
また、依存していた関係が終わると、強い不安や無力感に襲われ、すぐに新しい「支えてくれる人」を探そうとする傾向があります。これは、見捨てられることへの深い恐れが背景にあるためで、本人にとっては生き延びるための必死の行動でもあります。
原因としては、幼少期の過保護や過度な支配、否定的な体験、不安の強い気質などが関係すると考えられています。治療には心理療法が中心で、自立心を育てたり、自己肯定感を高めたりするアプローチが有効とされています。

4つ以上で該当
1.他者からの過剰のアドバイスがなければ、物事を決定できない。
2.責任を負うために、他者を必要とする。
3.他者の賛同を失うことを恐れ、反対意見を述べることができない。(この恐怖は、現実的な評価を超えたものである)
4.自ら物事を開始することができない (これは自信の無さに起因する)
5.他人の保護を得るために、不愉快なことまでを行う。
6.自らを保護することができないという肥大化した恐怖により、精神不安または無力感を覚える。
7.他者との密接な関係が終わると、過剰に不安になり、保護を得られる新しい者を探しだす。
8.保護してもらえなくなるという非現実的な恐怖に囚われている。

強迫性パーソナリティ障害

強迫性パーソナリティ障害(Obsessive-Compulsive Personality Disorder:OCPD)は、秩序・規則・完璧さ・コントロールに強くとらわれることで、かえって日常生活や人間関係に支障が生じてしまうパーソナリティ障害です。
MSDマニュアルでは、「規律性・完璧主義・コントロールへの広範なこだわり」が特徴とされています。
このタイプの人は、細部や手順、スケジュール、リストなどに異常なほど注意を払い、物事を「正しい方法」で行おうとします。その結果、活動の本質を見失ったり、完璧に仕上げようとするあまり仕事が終わらなくなったりすることがあります。
また、柔軟性が乏しく、他者のやり方を受け入れにくいため、「自分でやったほうが早い」と考えて仕事を抱え込み、人に任せることが苦手です。道徳や価値観に対しても厳格で、妥協が難しいという特徴があります。
さらに、価値のない物でも捨てられずにため込んでしまう、休暇や娯楽よりも仕事を優先しすぎる、変化に適応しにくい、といった行動も見られます。
本人は「正しくやろうとしているだけ」と感じているため、周囲のストレスに気づきにくいこともあります。
原因としては、家族的な気質、完璧主義的な性格傾向、幼少期の環境などが関係すると考えられています。

4つ以上で該当
1.規則や手順の細部までに注意を払うことで活動の焦点が失われていること。
2.そのために、計画が完成できず、締切などに間に合わない。
3.休暇どころか息抜きすることもできず、時間の無駄にならないように生産活動に臨む。
4.道徳原理に融通がなく、それは自己の間違いに対しても批判的である。
5.意味のない価値のない「ガラクタ」でも捨てることができない。
6人に仕事を任せることができないことである。
7.としては、自分の余裕よりもはるかに低い生活水準で過ごし、将来の破局に役立てようと「ケチ」になっていること。
8.それらが非常に頑固で妥協できない。

特定不能

抑うつ性パーソナリティ障害

抑うつ性パーソナリティ障害とは、悲しみや落ち込みが一時的な感情ではなく、性格の深い層に根づいたように続く状態を指します。本人は常に自分に厳しく、物事を悲観的に捉えやすく、周囲の人や出来事に対しても否定的な側面を強く感じ取ってしまいます。

このタイプの人は、自己評価が低く、罪悪感や自責感を抱えやすいという特徴があります。
何か問題が起きると、自分のせいだと考え、必要以上に責任を背負い込んでしまうことがあります。
また、他者からの褒め言葉を素直に受け取れず、成功しても「まだ足りない」と感じてしまう傾向があります。

気分は慢性的に沈みがちで、喜びや楽しさを感じにくく、人生を重く受け止めることが多いとされています。周囲から見ると「真面目」「控えめ」「落ち着いている」と映ることもありますが、内面では常に不安や悲しみが渦巻いていることがあります。

研究では、この状態は持続性抑うつ症(いわゆるディスチミア)と重なる部分が多いとされ、近年では診断名としては使われなくなりつつあります。しかし、性格傾向としては臨床で依然として重要視されており、他の精神疾患の発症リスクを高める要因にもなり得ます。
原因としては、幼少期の否定的な体験、厳格な家庭環境、遺伝的な気質などが複雑に関わると考えられています。治療では、否定的な思考パターンを見直す心理療法が有効とされ、自己肯定感を育てるアプローチが中心となります。

5つ以上で該当
1.通常の気分は、憂うつ、悲観、快活さのなさ、喜びのなさ、不幸感が優勢である。
2.不適切さ、無価値感、および低い自尊心についての確信が自己概念の中心を占める。
3.自分に対して批判的で自責的で、自分で自分をけなしている。
くよくよ考え込み心配してしまう。
4.他の人に対して拒絶的、批判的、非難がましい。
5.悲観的である。
6.罪悪感または自責感を感じやすい。

受動攻撃性パーソナリティ障害

受動攻撃性パーソナリティ障害とは、怒りや不満を正面から表現することができず、否定的な感情を間接的な行動として示してしまうパーソナリティ障害です。表向きは従順で穏やかに見えても、内側には反抗や不満が渦巻いており、それが「遅刻」「わざと仕事を遅らせる」「頼まれたことを忘れたふりをする」「皮肉を言う」「不機嫌な沈黙を続ける」といった形で現れます。

本人は意図的に相手を傷つけようとしているわけではなく、怒りを直接表現することが怖い、あるいは許されないと感じていることが多いとされています。そのため、表面上は「従うふり」をしながら、内心の抵抗を行動で示すという矛盾したパターンが生まれます。

このような行動は、幼少期に「怒りを出すことが許されない環境」で育ったり、支配的な親や厳しい規律の中で感情を抑え込むことを学んだ結果として形成されることがあります。
周囲から見ると、協力的に見えて実は非協力的であったり、理由のわからない遅延や不機嫌が続くため、関係がこじれやすく、誤解や摩擦が生じやすいタイプでもあります。しかし、根底には「怒りを表現する方法を知らない」「拒絶されることが怖い」という深い不安が隠れていることが多く、単なる“わがまま”や“反抗”とは異なる心理的背景があります。

治療や支援では、感情を安全に表現する方法を学ぶこと、怒りを適切に扱うスキルを身につけることが重要とされています。

4つ以上で該当
1.日常的な社会的及び職業的課題を達成することに受動的に抵抗する。
2.他人から誤解されており適切に評価されていない不満を述べる。
3.不機嫌で論争を吹っかける。
4.権威のある人物を不合理に批判し軽蔑する。
5.明らかに自分より幸運な人に対して、羨望と憤りを表現する。
6.個人的な不運に対する愚痴を誇張して口にし続ける。
7.敵意に満ちた反抗と悔恨の間を揺れ動く。

サディスティックパーソナリティ障害

サディスティックパーソナリティ障害とは、他者に対して残酷で攻撃的な行動を繰り返し、それによって優越感や快感を得る傾向を中心とするパーソナリティ障害です。DSM-III-R(1987年版)にのみ登場した診断名で、現在のDSM-IVやDSM-5には含まれていませんが、研究領域では今も概念として扱われています。

このタイプの人は、他者の苦痛・屈辱・恐怖を利用して支配しようとする特徴があります。暴力的な行動だけでなく、言葉による侮辱、恥をかかせる行為、心理的な操作など、身体的・精神的の両面で相手を傷つけることがあります。また、他者をコントロールすることに強い関心を持ち、恐怖を使って相手を従わせようとすることもあります。

サディスティックな行動は必ずしも肉体的暴力に限らず、社会的な場面で相手を辱める、弱点を突いて精神的に追い詰める、冷淡で無慈悲な態度をとるなど、日常的な関係の中でも現れます。
研究では、幼少期の虐待や暴力的環境、家族内の支配構造などが発達に影響する可能性が指摘されています。また、反社会性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害と併存することが多いとされています。
現在の診断体系では正式なカテゴリーではありませんが、臨床では「特定不能のパーソナリティ障害」や「反社会性パーソナリティ障害」の一部として扱われることがあります。

4つ以上で該当
1.人間関係における優越感を得るために、身体的虐待または暴力を用いたことがある(単に、何らかの非人間関係的目的を達成するためではない、例:強奪するために誰かをなぐる)
2.他人の目の前で人を辱め、けなす
3.自己の支配下で、誰かを非常にきびしく扱い、きたえたことがある(例:子供、学生、囚人、患者)
4.他者に精神的または身体的苦しみを与えること(動物を含む)を楽しみ、喜ぶ
5.他者を傷つけたり、苦痛を与える目的で嘘をついたことがある
6.他の人達をおどかして、自分のしたいことをやらせる
7.親しい人間関係にある人々の自律性を制限する(例:連れなしでは配偶者に外出させない、または10代の娘に人の集まる所に出ることを許さない)
8.暴力、武器、軍事、傷害、または拷問に魅せられる。

自己敗北性パーソナリティ障害

自己敗北性パーソナリティ障害とは、自分の幸福や成功を無意識のうちに台無しにしてしまう行動や思考パターンを特徴とするパーソナリティ障害です。かつては「マゾキスティックパーソナリティ障害」とも呼ばれ、1987年のDSM-III-Rに付録として掲載されましたが、その後のDSMでは正式な診断名として採用されていません。それでも臨床現場では、自己破壊的な行動パターンを理解するための概念として今も重要視されています。

このタイプの人は、良いことが起こる機会を避けたり、せっかくの成功を自ら台無しにしてしまう傾向があります。他者から援助を受けても拒否したり、支援を無効にしてしまうこともあります。成功や喜びに対して罪悪感を抱き、むしろ苦痛や困難な状況に身を置こうとすることさえあります。
また、他者から批判されるような行動を繰り返したり、自分を不利な立場に追い込むような選択をすることがあり、周囲から見ると「なぜそんなことを?」と思われる行動が続くことがあります。しかし本人にとっては、これらの行動が長年の心理的パターンとして根づいており、意図的というより“慣れ親しんだ生き方”になっていることが多いのです。

研究では、虐待や否定的な家庭環境、家族歴などがリスク要因として指摘されています。また、自己犠牲的・依存的・自己破壊的など、いくつかのサブタイプが提案されており、背景にある心理は多様です。
現在の診断体系では独立したカテゴリーではありませんが、自己破壊的な行動が強い場合、「特定不能のパーソナリティ障害」として扱われることがあります。

5つ以上で該当
1.もっとよい選択が明らかにある時でさえ、失望、失敗、または冷遇を味わう人物や状況を選ぶ
2.他者が自分を助けようとするのを拒絶、または効果がないようにする
3.自分個人に良いできごと(例、新しい成功)の後、抑うつ、罪責感、または苦痛を生じるような行動(例、事故)で反応する
4.他者に、怒り、または拒絶的反応を起こさせて、傷つき、打ち負かされ、辱められたと感じる(例、人前で配偶者をからかい、怒って言い返された後、がっくりする)
5.楽しみの機会を拒絶し、または楽しいという表現をすることが好きでない(十分な社会的技能も、楽しむ余裕も、あるにもかかわらず)
6.自分個人の対象としての重要な仕事が、その能力がはっきり示されているにもかかわらず、完成できない(例、仲間の学生に論文を書く手助けをするが、自分のものは書けない)
7.いつも自分によくしてくれる人達に興味がないか拒絶する(例、異性の相手の世話が好きでない)
8.期待される見返りのためではなく、過度の自己犠牲に没頭する

精神病質(サイコパス)

精神病質(サイコパス)とは、社会に適応することが難しく、他者の感情や権利を軽視しやすい恒常的なパーソナリティ特性を指します。精神病(幻覚や妄想など)とは異なり、思考は現実的で知的能力も保たれているため、外側からは冷静で魅力的に見えることもあります。
この特性を持つ人は、共感性や罪悪感が乏しく、他者の苦痛に対して感情的な反応が弱いとされています。そのため、他者を利用したり、嘘をついたり、表面的な魅力で人を惹きつけながらも、深い関係を築くことが難しいという特徴があります。
また、反社会性パーソナリティ障害の一部として分類されることがあるとされ、行動面だけでなく、感情や対人関係の質に独特の偏りが見られます。衝動性や攻撃性が強い場合もありますが、すべての精神病質者が犯罪行動に至るわけではありません。
精神病質は、「正常」「精神病」「精神病質」の三者を明確に区別できる指標は存在しないとされ、連続的なスペクトラムとして理解されることが多いと説明されています。つまり、白黒ではなく、程度の差として存在する性質です。
原因については、検索結果では明確な単一要因は示されていませんが、研究では遺伝的要因や脳の反応性、幼少期の環境などが複合的に関与すると考えられています。
精神病質という言葉は一般にも広く知られていますが、DSM-5では正式な診断名としては扱われていません。臨床では、反社会性パーソナリティ障害や特定不能のパーソナリティ障害の中で評価されることが多いとされています。

1.良心が異常に欠如している
2.他者に冷淡で共感しない
3.慢性的に平然と嘘をつく
4.行動に対する責任が全く取れない
5.罪悪感が皆無
6.自尊心が過大で自己中心的
7.口が達者で表面は魅力的
8.良心が異常に欠如している
9.他者に冷淡で共感しない
10.慢性的に平然と嘘をつく
11.行動に対する責任が全く取れない
12.罪悪感が皆無
13.自尊心が過大で自己中心的
14.口が達者で表面は魅力的

サイコパス診断

https://depression.natural-spi.com/top/about-trauma
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